慶暦の和約

慶暦の和約とは

慶暦の和約は、1044年に中国の宋（北宋）とチベット系の西夏の間で締結された和平合意です。この和約により、宋は西夏に対して毎年、銀5万両、絹13万匹、茶2万斤を贈ることが定められました。

和約成立の背景

当時の北宋は、建国者である趙匡胤（太祖）以来の文治主義政策が軍事力の低下を招き、北方の異民族の侵入に苦しんでいました。そこで宋は、異民族に財貨を支払うことで和約を結び、侵入を防ぐという方針を採りました。

1004年には、第3代皇帝の真宗が契丹族の遼との間で澶淵の盟を結び、多額の財貨を毎年支払うことで和平を維持しました。この財貨は宋の国力からすれば大きな負担ではなく、平和が続くことで経済は大いに繁栄しました。

慶暦の和約の内容

1038年に李元昊が中国北西部に西夏を建国すると、再び宋との国境に緊張が生じました。西夏はしばしば宋の領内に侵入を繰り返し、宋は対応に苦慮しました。そこで、第4代皇帝の仁宗は1044年に西夏と慶暦の和約を結びました。これにより、宋が君、西夏が臣という関係を формализация し、宋が西夏に貢物を贈ることで和議が成立しました。

また、宋と西夏の争いに乗じて遼が宋に領土の割譲を求めましたが、宋は遼への支払い増額で事態を収拾しました。

和約の影響

慶暦の和約によって宋は北方からの安全を確保し、国境の治安は安定しました。仁宗の治世は政治的な安定期を迎え、「慶暦の治」と呼ばれる時代が到来しました。しかし、文治主義による官吏の増加と異民族への多額な貢物は、宋の財政を圧迫し始めました。建国当初50万人にも満たなかった兵士の数は1040年代には120万人に達し、軍事費も増加しました。

1048年以降、宋の財政は急速に悪化し、1060年代には財政支出が赤字に転落しました。この財政再建策をめぐり、1070年代には新法・旧法の争いと呼ばれる政争が起こり、政治の混乱と停滞を招き、宋の衰退の一因となりました。

一方、西夏は遼との武力衝突を経て、宋・遼と対等な地位を獲得するに至りました。

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