憲法研究会

憲法研究会の概要

憲法研究会（けんぽうけんきゅうかい）は、1945年に設立され、日本の憲法制定に向けての準備や研究を行うことを目的とした組織です。この研究会は、元東京大学経済学部教授であり社会統計学者の高野岩三郎の提起により誕生しました。彼は敗戦直後の1945年10月29日、日本文化人連盟の設立準備会において、戦前から憲法史研究を行っていた鈴木安蔵（憲法学者）、およびジャーナリストの馬場恒吾などのメンバーを集めました。これにより、憲法研究会は活動を開始しました。

憲法草案の提出

1945年12月26日、憲法研究会は「憲法草案要綱」を首相官邸に提出し、2日後に新聞で発表されました。この草案は、GHQ（連合国軍最高司令官総司令部）による関心を引くこととなり、戦後の日本国憲法の草案に多くの影響を与えたとされています。特に国民主権の概念に関して、小西豊治は、この草案が現行の憲法に間接的に寄与したと主張しています。

高野岩三郎の批判と新たな提案

その後、高野岩三郎は、提出した憲法草案に対して、象徴天皇制を残す点を不十分であるとし、札幌市で行われたフォーラムで「囚われたる民衆」という言葉を用いてその批判をまとめました。さらに、彼は天皇制の廃止や大統領制の導入、土地の国有化を含む、日本共和国憲法私案要綱を発表しました。この活動に続いて、高野は1946年にNHK会長に就任し、日本社会党の顧問としても活動することになります。

メンバーのその後の活動

憲法研究会のメンバーは、それぞれの分野で活躍しました。馬場恒吾は読売新聞に招かれ、同社の社長を務めました。杉森孝次郎は早稲田大学で教育を続けながら、バートランド・ラッセルに関する業績を残しました。森戸辰男は、社会党の右派理論家として片山、芦田内閣に文部大臣として入閣し、議員引退後は広島大学の学長に就任しました。岩淵辰雄は公職追放を受けた後、復帰し鳩山政権において重要な役割を果たしました。

鈴木安蔵は、戦前から独自に憲法研究を進めていましたが、戦後は静岡大学、愛知大学、立正大学などの教授を歴任し、憲法改悪反対のさまざまな運動に参加しました。彼は護憲運動のリーダーとしても知られています。また、室伏高信も公職から追放されたのち、評論活動を続けました。

参考文献・関連項目

このように、憲法研究会は日本の憲法に多大な影響を与えた重要な組織であり、各メンバーもその後の政治や学問の発展に寄与しました。さらに、この研究会に関する詳細については、著作やドラマの中で描かれ、日本国憲法の成立過程についての理解を深める材料となっています。例えば、小西豊治の『憲法「押しつけ」論の幻』や、古関彰一の『日本国憲法の誕生』といった参考文献が存在します。また、関連する映画やテレビドラマも制作され、憲法研究会の活動をテーマにした作品が多くあります。

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