懐しきlove-song

坂本九さんの遺作シングル「懐しきlove-song」

1985年5月22日、歌手・坂本九さんのシングルレコード「懐しきlove-song」が発売されました。これは、坂本さんが東芝EMIからファンハウスに移籍後、初めてリリースした作品です。しかし、同年8月12日に発生した日本航空123便墜落事故により坂本さんが急逝したため、このシングルは、ファンハウスから発売された唯一の作品にして、坂本さんの生前発売された最後のシングルとなりました。

このシングルは、移籍後最初の作品という重要な意味を持つだけでなく、坂本さんの生涯における最後の音楽活動の記録としても、大きな意義を持っています。

発売後間もない1985年6月8日には、NHKが主催する「古賀政男記念音楽大賞」を受賞。同大賞を受賞したこの曲は、坂本さんにとって生前最後の仕事となったNHK-FMの公開録音で披露されました。事故前日の8月12日、当時NHK505スタジオで行われたこの収録は、坂本さんの最後の歌声の記録となりました。この番組は同年9月1日に「秋一番 坂本九」として放送されました。

このシングルにはA面「懐しきlove-song」とB面「心の瞳」の2曲が収録されています。両曲とも、作詞は荒木とよひささん、作曲は三木たかしさん、編曲は川口真さんが担当しています。特にB面の「心の瞳」は、坂本さんの死後、合唱曲として編曲され、葬儀では坂本さんの長女である大島花子さんがピアノで演奏しました。

坂本さんが所属レコード会社を変えてリリースした最初のシングルであり、同時に最後のシングルとなった「懐しきlove-song」。この作品は、彼の音楽活動の軌跡を示す重要な作品であり、日本の音楽史においても貴重な記録となっています。現在、マスターテープはソニー・ミュージックダイレクトが保有しており、EMIミュージック・ジャパン（現在のユニバーサルミュージック）が発売するアルバムに収録される際には、同社から借り受ける形となっています。

「懐しきlove-song」は、単なる音楽作品にとどまらず、坂本九さんの人生と音楽に対する情熱、そして早すぎる死を悼む、多くのファンにとって忘れられない作品となりました。 楽曲の歌詞からは、時代を超えて響く普遍的な愛のメッセージが感じられ、今もなお多くの人々の心に深く刻まれています。 この曲は、彼の早すぎる死を悼むとともに、彼の音楽と人生を後世に伝える重要な役割を果たしていると言えるでしょう。彼の音楽への情熱、そして、その才能は、このシングルを通して、これからも多くの人々に感動を与え続けることでしょう。

このシングルは、坂本九さんの音楽活動の集大成であり、彼の才能と人気を改めて示すものとなっています。また、彼の早すぎる死を悼む人々にとって、永遠の追悼のシンボルとしての役割も担っていると言えるでしょう。

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