懸章

懸章（けんしょう）の概要

懸章とは、肩から腰にかけてかける襷状の装身具であり、日本の陸軍において特定の役職者がその職務を示すために使用されていました。懸章は、国内外で異なる形状や使用法があり、英語では「sash」と表記されます。特に日本の大日本帝国陸軍では、主に副官や週番士官、さらに衛戍巡察将校が用いていました。

歴史的背景

懸章の使用は、大日本帝国陸軍における役職の特定を目的として導入されました。副官や週番士官、衛戍巡察将校は、役職に応じた懸章を佩用することで、その立場や職務の重要性を示していました。このシステムは、明治19年に制定された際から戦後にかけて続き、帝国陸軍の解体まで存続しました。特に、懸章はその形式がほとんど変更されることなく利用され続けていた点が特徴的です。

懸章の種類と構造

懸章に関しては、副官と週番巡察用の2つの主要なタイプが存在します。副官が使用する「高等官衙副官懸章」は、黄毛糸線3条と白絹線2条で製作され、その幅はおおよそ45mmです。さらに、両端には黄毛糸60条で構成された総が付けられており、緒締めも同様に黄毛糸組みで形成されています。一方、週番巡察将校が佩用する「週番巡察懸章」では、副官懸章の黄色の部分が緋色に置き換わっています。こちらも全長は151.5mmに設定されています。

現在の状況

現代の陸上自衛隊では、懸章は使用されていませんが、帝国陸軍時代の週番下士官の腕章に似た形式の腕章が用いられています。懸章が陸軍の伝統の一部として存在する一方で、近代の装身具はそれぞれの任務や役職に即した形に変わってきています。

関連項目

懸章に類似した装飾品としては、大統領綬や飾緒などが挙げられます。これらも特定の役割や地位を示すための重要なシンボルとして、さまざまな軍事や公式行事において重要な位置を占めています。懸章そのものが持つ意味や価値は、単なる装身具に留まらず、歴史の中での社会的な役割や規範に深く結びついているという点が注目されます。

懸章は日本の軍事史において重要な要素であり、文化的な背景や職務におけるアイデンティティの一部を形成しています。

もう一度検索