腕章

腕章（Armband）とは

腕章は、腕に巻いたり装着したりすることで、その人の身分や所属、役割を示す記章です。英語では軍用や準軍事組織の腕章を「brassard」、入場許可証としてのアームバンドを「arm pass」と呼びます。

腕章の概要と役割

腕章は、遠くからでも識別しやすいように、腕に大きく巻いて使用されます。これにより、着用者の所属や役割を公に示すことができます。例えば、普段は階級章をつけない私服や作業服を着ている警察官や軍人が、腕章を着用することで身分を明らかにします。また、憲兵や衛生兵、赤十字関係者も、所属組織を示す腕章を着用します。ハーグ陸戦条約では、腕章を着用して交戦資格のある団体に所属していることを示すことで、捕虜としての待遇を受けることが認められています。

社会的変動と腕章

社会的な変動期には、腕章は特定の政治運動の支持や政党への所属を示すためにも用いられます。ヴァイマル共和政時代のドイツでは、ナチスが鉤十字の腕章を着用し、敵対する共産党や社会民主党も同様に腕章を使用していました。ナチスによるユダヤ人迫害の際には、ダビデの星を縫い付けた腕章を差別対象の目印として使用させました。中国の文化大革命では、紅衛兵が漢字の標語が入った赤い腕章を身につけていました。

現在の日本でも、日本共産党が街頭宣伝の際に党名や紙名入りの腕章を使用しています。また、事件・事故・災害現場では、報道関係者が一般人との識別のため、「PRESS」「報道」「取材」などの腕章を着用します。

弔意を示す腕章

黒い腕章は、葬儀や集会、スポーツの試合などで、故人への弔意を示すために使用されます。サッカー選手がチームメイトや関係者の死後に黒い腕章をつけて試合に出場する例があります。

このように、腕章は特定の集団や立場にあることを周囲に知らせる役割を果たします。サッカーのキャプテンマークは、試合中に脱落しないように伸縮性のあるジャージ状のバンドが使用されます。

日本における腕章の例

日本では、緑地に白い2本線の交通警察部門や交通指導員の腕章がよく知られています。このデザインは路面電車の軌道が由来とされています（緑色が路面、白線が軌条）。

一般的な腕章は帯状で、脱落防止用の紐や安全ピンが付いています。しかし、国や組織によっては肩章を通して吊り下げるために、中央部分が盛り上がった山形の形式の腕章も存在します。

腕章は、そのデザインや使用方法によって、様々な意味を持つ記章と言えるでしょう。

関連事項

肩章
ワッペン
襟章
喪章

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