懿敬世子

懿敬世子（ウィギョンセジャ）の生涯

懿敬世子、李氏朝鮮の王族で、正統3年（1438年）に誕生し、天順元年（1457年）に19歳で亡くなりました。彼は第7代国王世祖の長男であり、王世子として期待されましたが、病にかかり王位に就くことはできませんでした。

彼の名は暲（ジャン）、字は原明（ウォンミョン）で、後に懐簡宣粛恭顕温文懿敬大王と呼ばれ、廟号は徳宗（トクジョン）です。彼の父は世祖であり、母は貞熹王后尹氏、妹には懿淑公主、弟には後の第8代国王となる海陽大君がいます。

育ちと教育

幼少期から学問に秀で、礼儀正しく優れた才能を持っていました。特に楷書に長けていた彼ですが、生まれつき病弱なため、その健康状態が常に心配されていました。1445年には正義大夫の位を得て桃源君（トウォングン）に封じられるなど、順調な経歴を歩んでいきます。

1450年には、韓確の娘を正室に迎え、1453年には癸酉靖難での功績を評価され、興禄大夫に昇進しました。1455年、父が国王に即位すると、同時に王世子に冊封され、彼の地位は確立しました。

病気と最期

しかし、1457年になると懿敬世子の病状は悪化し始めました。慶会楼に孔雀斎を設け、21人の僧侶が病気治癒のために祈祷を行う場面も見られました。6月には先代王端宗が廃位され、その後、同年の旧暦9月2日、懿敬世子は病により亡くなりました。

最後の瞬間、彼は伯母である顕徳王后の幽霊を見たとされていますが、その情報は正確ではなく、むしろ彼が端宗に先んじて亡くなった事実が浮き彫りになります。この時期、世祖は家族の罪悪感から苦しんでいたとされ、特に顕徳王后の霊に対する行動が記録として残っています。

家族とその後

懿敬世子の死去から12年後、彼の次男である乽山君が即位し、廟号「徳宗」で追尊されました。彼は今の京畿道高陽市にある敬陵に埋葬されています。彼の後世における尊敬は、彼の血筋によって継承されることになりました。

家族には、王妃として昭恵王后（仁粋大妃）がおり、二人の子供、長男の月山大君と長女の明淑公主がいました。長男月山大君は王として成宗となり、長女は正室として結婚し、家系を継承していくこととなります。

側室と後宮

また懿敬世子には数人の側室が存在しました。彼らは、貴人権氏、貴人尹氏、淑儀慎氏などと呼ばれましたが、いずれの側室との間にも子供は授かることがありませんでした。これらの女性たちも後に追尊されることで、王族の名のもとに評価されることとなります。

懿敬世子は、短い生涯の中で多くの期待を背負い、家族の歴史に影響を与えた重要な人物でした。その生涯は、李氏朝鮮の歴史の中で語り継がれることでしょう。

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