戊午士禍

戊午士禍について

戊午士禍（ぼごしか）は、李氏朝鮮王朝中期、特に16世紀初頭に発生した士林派に対する政治的迫害の一つであり、これには数回の事件が含まれています。この事件は燕山君（在位：1494年～1506年）の治世において発生し、学者や政治家の間での対立を深刻化させました。この弾圧事件は、後に「四大士禍」と呼ばれる一連の士禍の最初のものであり、その影響は広範囲にわたりました。

事件の発端

戊午士禍の背景には、1494年12月に成宗が死去し、燕山君が即位したことがあります。新しい政権が樹立されると、1495年4月から「春秋館」と呼ばれる実録編纂所が設立され、成宗実録の編纂が始まりました。史実の確認と記録の重要性が増す中、成宗時代に史官を務めた士林派の金馹孫が提出した史草がきっかけとなる出来事が続きます。

1498年、この金馹孫の史草の中に、彼の師である金宗直が世祖の政権簒奪を批判する内容が見つかりました。この情報が回り回って到達したのが、勲旧派の実力者である柳子光です。彼は金宗直から厳しく批判を受けており、個人的な恨みを抱いていました。柳や李らはこの事実を利用し、燕山君に対して士林派に対する上疏を行います。

燕山君の関与

燕山君は士林派の意見に対して批判的であったため、この上疏を受け入れ、士林派への迫害が始まります。彼自身も反対意見を持つ士林派を警戒していました。勲旧派は金馹孫を捕まえ、厳しく尋問します。その結果、「弔義帝文」が金宗直の指示付きで史草に載っているという告発がなされ、金宗直は重大な処罰を受けることとなりました。

処罰と影響

金宗直は、彼の受けた愚弄は「剖棺斬屍」という残酷な形式で処刑されました。また、金馹孫や彼に連なる権五福なども「凌遅処斬」という、さらに過酷な形式での処罰を受けました。その結果、士林派の多くは配流や免職の処分を受け、力を失っていきました。この事件を引き起こした李克墩も、対応を怠った責任を問われ、左遷される運命にありました。

まとめ

戊午士禍は、朝鮮王朝における権力闘争と政治的迫害の象徴的な事件です。この事件は、後の時代においても士族の意義や権力の在り方について多く学ぶべき教訓を提供しています。

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