成増飛行場

成増飛行場：帝都防空の要から光が丘の礎へ

成増飛行場（旧字体：成增飛行場）は、現在の東京都練馬区光が丘一帯に位置していた、旧日本陸軍の軍用飛行場です。戦時中は「成増陸軍飛行場」として知られ、住民からは「高松飛行場」とも呼ばれていました。

建設の背景と経緯

太平洋戦争勃発後、1942年4月18日のドーリットル空襲を機に、帝都防空の必要性が高まり、成増飛行場の建設が決定されました。1943年の建設工事には、陸軍工兵隊、近隣住民、刑務所の囚人、朝鮮からの労働者、学生など、総勢約2,000人が動員され、昼夜を問わず突貫工事が行われました。

飛行場の役割

完成した飛行場には、日本陸軍の飛行部隊や整備隊が配置されました。終戦間際には、南方作戦からの戦力回復や、特別攻撃隊の訓練基地としての役割も担いました。特攻隊員たちは、ここから出撃し、帰らぬ人となっていきました。

施設の概要

成増飛行場には、滑走路（幅60m、延長1,200m）、誘導路（幅20m、延長1,300m）、駐機場、兵営などの施設がありました。滑走路は舗装され、迷彩が施されていました。兵営には、正門、戦闘指揮所、戦闘大隊本部、飛行中隊、整備中隊、飛行機工場、射撃場、将校仮泊所、医務室、警備中隊、補給中隊などが置かれていました。

終戦とその後

終戦後、成増飛行場は連合国軍に接収され、アメリカ軍の家族住宅地「グラントハイツ」となりました。グラントハイツには、多くのアメリカ軍人やその家族が暮らしました。1973年に日本へ返還された後、跡地は光が丘団地や公園として整備され、現在の光が丘の街並みが形成されました。

現在の面影

現在の光が丘には、成増飛行場の面影を残すものがいくつか存在します。夏の雲公園の北端が滑走路の南端であり、IMAの中央やや東寄りを南北に貫く道路が、滑走路の跡です。また、光が丘南交番周辺には、誘導路の跡が残っています。大通り南公園の西端には、正門があった場所を示す石碑が建てられています。

年表

1942年: 飛行場用地の測量調査開始
1943年: 飛行場建設工事、飛行場完成
1944年: 特別攻撃隊編成
1945年: B-29による空爆、終戦、連合国軍に接収
1947年: 成増飛行場跡地が「グラントハイツ」と改称
1948年: 家族宿舎完成
* 1973年: グラントハイツが日本へ返還

成増飛行場は、戦時中は軍事施設として、戦後はアメリカ軍の住宅地として、そして現在は光が丘の街として、その姿を変えてきました。その歴史は、日本の近現代史を語る上で重要な一部と言えるでしょう。

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