成島出

成島出 - 日本の映画監督・脚本家

成島出（なるしま いずる、生年1961年4月16日）は、日本の映画界において著名な監督兼脚本家です。山梨県甲府市で生まれ、成島は甲府東高等学校を卒業後、駒澤大学に進学しましたが、文学部を中退し、大学の映画サークルで創作活動を始めました。1986年、初めて監督した短編映画『みどり女』がぴあフィルムフェスティバルに入選し、ここで長谷川和彦監督や大島渚監督から「映画監督になれ」と励まされたことが、彼の映画監督としての道を開くきっかけとなりました。

その後、長谷川のもとで5年間学びながら、「ディレクターズ・カンパニー」という集団にも参加し、映画制作の様々な側面を学びました。また、相米慎二や平山秀幸監督のもとで助監督としての経験も積み、映画界での基盤を固めました。

1994年には、映画『大阪極道戦争しのいだれ』で脚本家としてデビュー。その後も『T.R.Y.』や『日本沈没』など、多くのヒット作品の脚本を手がけ、名脚本家としての地位を確立しました。特に2003年の作品『油断大敵』では、役所広司と柄本明を主演に迎えて初監督を果たし、若手監督としての評価を一層高めました。この作品により、藤本賞新人賞やヨコハマ映画祭新人監督賞を受賞し、業界での存在感を示しました。

以降も作品の質を維持し続け、2008年の『クライマーズ・ハイ』では日本アカデミー賞の優秀脚本賞を受賞。2010年には『孤高のメス』で優秀監督賞を、2012年の『八日目の蝉』では最優秀監督賞を手にしました。この作品は、最優秀作品賞や最優秀脚本賞など10部門にわたって受賞し、成島の才能が広く認識されることとなります。『八日目の蝉』は、深い人間ドラマと緻密な脚本で、多くの観客の心を掴みました。

さらに、2015年には『ふしぎな岬の物語』で再び優秀監督賞を受賞し、この作品自体もモントリオール世界映画祭でいくつかの賞を獲得しました。2017年に公開された『ちょっと今から仕事やめてくる』の後、彼は自身が胃がんを患って入院していたことを明かし、作品制作に対する熱意と生涯現役の姿勢を貫いていることがうかがえます。

フィルモグラフィー

成島出の映画作品は多岐にわたります。劇場作品には、脚本を担当した『大阪極道戦争しのいだれ』（1994年）、『油断大敵』（2003年）、『フライ,ダディ,フライ』（2005年）、『孤高のメス』（2010年）、『八日目の蝉』（2011年）、さらに最近では『いのちの停車場』（2021年）や『銀河鉄道の父』（2023年）などがあります。特に『八日目の蝉』は、その圧倒的な物語展開と深いテーマ性から高く評価され、アカデミー賞においても多くの部門で受賞を果たしました。

成島出は、映画に対する真摯な姿勢と多彩な表現力で、観客に感動をもたらす作品を作り続けています。彼が映画界に与えた影響は計り知れず、今後の活動にも注目です。

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