成歩堂龍一

成歩堂龍一（なるほどうりゅういち）

カプコンが手掛ける人気アドベンチャーゲーム『逆転裁判』シリーズの中心人物として知られる架空のキャラクターです。推定生年は1992年頃とされており、海外版ではPhoenix Wright（フェニックス・ライト）という名前で登場します。その名前は日本語版では「なるほど」という相槌、海外版では「不死鳥のように蘇る」というイメージに由来し、日本語の苗字のイントネーションは「エビフライ」と同じとされています。

概要

『逆転裁判』、『逆転裁判2』、『逆転裁判3』、『逆転裁判蘇る逆転』、『逆転裁判5』といったナンバリングタイトルの主要な主人公を務めます。『逆転裁判6』では王泥喜法介と共にダブル主人公として活躍。一時的に主人公が交代した『逆転裁判4』では、外見や性格が大きく変わりつつも、物語の重要な依頼人であり、新主人公の師匠の友人として登場し、一部エピソードでは主人公として描かれます。スピンオフ作品である『逆転検事』シリーズには直接関与せず、存在が示唆される程度です。

人物像

主な職業は刑事事件専門の弁護士。一時的に資格を剥奪され、自称ピアニストとして活動していましたが、『逆転裁判5』で弁護士に復帰しました。両親や兄弟についてはほとんど情報がなく、先祖に成歩堂龍ノ介がいることが示唆されています。結婚経験はなく、霊媒師の綾里真宵と共に行動することが多く、『逆転裁判4』以降は義理の娘であるマジシャンの成歩堂みぬきと共に暮らしています。

性格は、他者の発言に対して的確なツッコミを入れるのが得意ですが、時折天然な一面も見せます。感情が顔や目に出やすく、動揺を隠しきれないことがあります。勘違いや早とちりが多い一方で、人一倍お節介で、困っている人を見ると放っておけない性質です。初期にはやや口の荒い部分も見られましたが、シリーズを通して変化が見られます。特にみぬきに対しては非常に甘く、「親バカ」と評されることもあります。基本的には穏やかですが、裏切りや検察側の不正に対しては強い怒りを表すことがあります。弁護士としては、若手弁護士を指導するまでに成長し、所長としての風格も見せるようになりました。開発者である巧舟は、彼のセリフには自身の素が出ていると語っており、自己投影しているのではないかと指摘されています。

来歴

小学生時代に経験した学級裁判で友人たちに助けられたことが、弁護士を目指す原点となります。大学時代に冤罪事件の被告人となりますが、後に師となる弁護士綾里千尋の弁護により無罪を勝ち取り、弁護士への道を志す決意を固めます。司法試験に合格後、千尋の事務所に入所し、彼女の死後は事務所を引き継ぎ「成歩堂法律事務所」を設立。数々の難事件で依頼人を救い、高い勝訴率を誇る敏腕弁護士として名を馳せますが、ある事件で提示した証拠が捏造であったとして弁護士資格を剥奪されます。

弁護士を辞した後、彼は「成歩堂芸能事務所」を設立し、ピアニスト兼ポーカープレイヤーとして活動します。この時期に養女としたみぬきと共に暮らし、裏では自身が資格を失う原因となった事件の真相を追い続けます。『逆転裁判4』で再び法廷に関わることになり、新主人公の王泥喜法介と出会い、彼を事務所に迎えます。そして『逆転裁判5』で弁護士資格を再取得し、「成歩堂なんでも事務所」所長として弁護士業に復帰。王泥喜や新たに加わった弁護士希月心音と共に、再び法廷で戦います。

『逆転裁判6』では、真宵を迎えに訪れたクライン王国で、弁護士不在という異例の裁判に巻き込まれます。そこで弁護を引き受け、異国の法廷で無罪を勝ち取るという困難な経験をします。物語終盤では、法廷で王泥喜と原告代理人として対決する場面もあり、その中で自身の依頼人を追求し、潔く敗北を受け入れます。最終的には、王泥喜がクライン王国に残るという決断を尊重し、彼の巣立ちを見守ることになります。

容姿と特徴

身長は176cm。体型は標準的ですが、肩幅や首筋は比較的しっかりしています。トレードマークは青いスーツと赤系（ピンク）のネクタイ、そして独特のギザギザしたオールバックの髪型です。この髪型は本人曰く幼少期から変わっていません。『逆転裁判4』では、弁護士資格を剥奪された影響か、ニット帽に無精ヒゲという以前とは大きく異なる姿で登場しました。

年齢の割に老けて見られることが多く、「お兄さん」より「オジサン」と呼ばれることに不満を感じる節がありますが、『逆転裁判4』以降は自覚しているような言動も見られます。健康な体質ですが、極度の高所恐怖症であり、高い場所に登ったり風邪を引いたりすると顔色が深緑色になります。また、風邪を引くたびに悲惨な事件に巻き込まれる傾向があります。

生活と仕事

事務所は、かつて師である綾里千尋が使用していた場所を受け継いでいます。所長室には千尋の遺品や観葉植物が置かれていますが、全体的に散らかっているようです。机よりもソファでテレビを見ていることが多いと語られており、机は埃をかぶっていることも。『逆転裁判4』で「成歩堂芸能事務所」となってからは、みぬきのマジック道具で埋め尽くされていました。事務所には居住スペースもあり、真宵が住み込んでいた時期もありました。自宅マンションも所有していますが、詳細は不明です。

弁護士としての実績は目覚ましく、担当した刑事事件のほとんどで無罪判決を勝ち取っており、「不敗の弁護士」として知られていました。しかし、依頼は月に数件程度と少なく、収入は不安定で家賃の支払いに困ることもありました。それでも、彼の弁護士としての知名度は高く、多くの関係者や傍聴人からその手腕が認められています。

好物と苦手なもの

好物はリンゴとウィンナーで、ラーメンは豚骨派。飲み物ではグレープジュースがお気に入りですが、これは元々ワインという設定が全年齢対象ゲームのため変更されたもので、『逆転裁判6』ではワインであったことを示唆するセリフがあります。苦手なものは「裏切り」と「毒薬」で、最も卑怯で人を傷つける行為だと考えています。前述の通り高所恐怖症で注射も苦手です。恋愛に関しては一途なタイプで、過去に恋人がいたことも明かされています。

他作品への登場

ゲーム本編以外にも、様々なクロスオーバー作品に登場しています。レベルファイブとのコラボレーション作品『レイトン教授VS逆転裁判』では、記憶を操作されパン屋として働く姿が描かれましたが、魔女裁判を通して弁護士としての記憶を取り戻し、レイトン教授と共に真実を解き明かしました。対戦格闘ゲーム『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』ではプレイアブルキャラクターとして参戦し、証拠集めや「異議あり！」を使ったユニークな戦闘スタイルを見せます。また、シミュレーションRPG『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』にも参戦し、異世界で特殊な能力を得て戦います。

演じた人物

ゲーム版の初期の「異議あり！」などの声はディレクターの巧舟が担当しており、その印象は強いものがあります。後に『逆転裁判3』のPVや『逆転裁判5』以降のゲーム本編、アニメ版などでは近藤孝行が声を担当しています。その他の作品では、『レイトン教授VS逆転裁判』で成宮寛貴、『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』では鳥海浩輔が声を当てています。実写映画版では成宮寛貴が、舞台版では蘭寿とむなど複数の俳優が演じています。

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