成田泰之

成田 泰之の生涯とその影響

成田 泰之（なりた やすゆき）は、江戸時代前期に名を馳せた武将であり、下野国烏山藩の第2代藩主としても知られています。彼は初代藩主である成田 泰親の次男として誕生し、母は上杉憲盛の娘であり、名門に生まれ育ちました。官途名は左馬助であり、彼の生涯は多くの戦闘経験と家督を巡る紆余曲折に満ちています。

戦歴の中で

泰之は慶長20年（1615年）、弟の泰直とともに大坂夏の陣に従軍しました。この戦役において、彼は顕著な戦功を挙げており、特に5月7日の天王寺の戦いでの功績が記録されています。『成田系図』によると、泰之はこの戦闘で相手の首を数個討ち取ったとされています。また、父・泰親が家臣の青木与兵衛に宛てた書状には、兄弟の戦いぶりへの感謝の意が記されており、彼らの軍功は家族の名声を一層高めたのです。

家督の継承とその葛藤

その後、年次は不明ですが、泰之と泰直の小姓の振る舞いに関して一部の家臣からの諫言があり、これが後に内紛の原因となったとの見方もあります。元和2年12月18日（1617年1月25日）、父・泰親が逝去すると、泰之は長男の重長が早逝していたため、条件付きで家督を継承しました。この条件は、重長の嫡子・房長が成人するまでというものでした。

記録によると、泰親の死後には一度改易されるものの、烏山藩1万石の領主としての地位は保たれました。「徳川除封加封録」では、領地が完全に奪われることなく存続したとの記載が残っています。泰之が直面した家族間の従属的な関係は、彼の運命をさらに複雑にしました。

泰之の死とその影響

元和8年11月7日（1622年12月9日）、泰之は亡くなります。彼の死後、家督を巡る争いが勃発し、特に弟泰直と甥の房長の間での対立が家の運命を左右しました。『烏山城主書上』には、この騒動の結果、成田家は滅亡に至ったと記されています。興味深いことに、『断家譜』によると、泰之に実子がいなかったことが理由で領地が奪われたという側面も指摘されています。

泰之の死後、成田氏は断絶し、烏山には常陸国小張から松下重綱が入封することになりました。成田家の嫡流は、房長の子供である正安が御家人として名を連ね、その後の世代では旗本に昇格するなど、家系の名声は続いていきます。最終的に、正之という養子が勘定衆に出世したことで、成田家の名声はその後も受け継がれていくのです。

結論

成田 泰之の生涯は、武将としての戦闘経験と家族間の葛藤の中で、下野国における地域政権の形成に影響を与えました。彼の存在は、藩主としての責任や家督を巡る争いを経て、成田家の歴史に刻まれることとなります。

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