上杉憲盛

上杉憲盛

上杉憲盛（うえすぎ のりもり）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、深谷上杉家7代当主として知られています。武蔵国深谷城を拠点に、激動の時代を生き抜きました。

生涯

享禄3年（1530年）に上杉憲賢の子として生まれました。父・憲賢が成田長泰と結んだ際、太田資時の娘を正室に迎えています。当時の武蔵国は、河越城の戦いで扇谷上杉家を破った後北条氏が勢力を拡大しており、山内上杉家の上杉憲政が上野国を追われると、関東管領としての地位も衰退していました。

周囲が北条氏に下る中、憲盛は岡谷清英や秋元景朝ら重臣の活躍により深谷城を守り続けましたが、最終的には父と共に北条氏に降伏しました。永禄3年（1560年）に父が没したため家督を継ぎます。

家督相続直前には、由良成繁が300騎を率いて深谷家の領内に侵入。憲盛はわずか120騎で応戦しましたが敗退し、領土の一部を失いました。永禄4年（1561年）、長尾景虎（後の上杉謙信）が北条氏討伐のために大軍を起こすと、憲盛はこれに寝返ります。しかし、武田信玄が景虎の背後を牽制する動きを見せたため、景虎は帰国。その後、北条氏が勢力を回復すると、永禄6年（1563年）に憲盛は再び北条氏に降伏しました。この時、景虎の命を受けた成田氏長（長泰の子）が深谷城を攻撃しましたが、後に氏長が北条氏に降伏すると、憲盛は娘を氏長の弟・成田泰親に嫁がせて和解しました。

永禄12年（1569年）の越相同盟締結により深谷城が上杉氏の勢力下に入ると、憲盛は謙信に属します。同年、甲斐武田氏の侵攻に備えた北条氏邦から援兵を求められますが、実際に援軍を派遣したかは不明です。同盟破綻後も北条氏側には復帰しなかったため、北条氏や武田氏による深谷への侵攻を受けますが、なんとか防戦しました。憲盛は生涯、上杉氏の配下として行動し、深谷上杉家の北条氏への帰属は、彼の死後に親北条派の氏憲が家督を継いだことによる路線変更と考えられています。

子孫

憲盛の嫡男・氏憲の子である憲俊は、元和3年（1617年）に播磨国平福藩の池田氏に仕えました。また、二男・深谷吉次の子孫は旗本となり、真田幸定の舅である深谷盛定や、江戸時代後期に大目付・勘定奉行などを務めた深谷盛房らを輩出しています。

逸話

元亀4年/天正元年（1573年）頃、上杉輝虎（謙信）との会合で、輝虎から憲盛の次男を養子に頼まれたという記述が『深谷記』に見られますが、他の資料では確認できないため、信憑性は低いとされています。

上杉憲盛は、激動の戦国時代において、周辺勢力の思惑が交錯する中で、領地を守り抜き、家名を存続させるために奔走した人物でした。

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