成田達輝

成田 達輝

日本の新世代を代表するヴァイオリニストの一人、成田 達輝（なりた たつき）は、1992年3月5日に青森県弘前市に生まれました。幼い頃からヴァイオリンの世界に足を踏み入れ、その才能を開花させてきました。彼の音楽の旅は、澤田まさ子、市川映子両氏のもとで始まり、小学校時代には札幌市のHBCジュニアオーケストラで研鑽を積みました。

その後、父親の転勤に伴い、山形、北海道を経て、中学入学を機に群馬県前橋市に移り住みます。この地で、ヴァイオリニストの藤原浜雄氏と出会い、氏の指導は成田氏のその後の音楽人生に計り知れない影響を与えました。中学生にして、2006年の第60回全日本学生音楽コンクール全国大会中学校の部で第1位に輝き、複数の特別賞も受賞するなど、早くからその才能が注目されました。

2007年には桐朋女子高等学校音楽科（共学）に進学。高校在学中も、2007年の第5回東京音楽コンクール弦楽部門での第1位および聴衆賞受賞、2009年の第78回日本音楽コンクールでの第2位およびナカミチ賞受賞など、国内外の主要コンクールで優秀な成績を収め続けました。これらの受賞歴は、彼の確かな技術と深い音楽性を裏付けるものです。

高校卒業後、2010年に音楽の本場であるフランスへと渡ります。パリ市立13区音楽院を経て、世界的な名門であるパリ国立高等音楽院で学び、ジャン＝ジャック・カントロフ、スヴェトリン・ルセヴ、フローリン・シゲティといった著名な師事を受けました。海外での学びは、彼の音楽にさらなる深みを与えました。

特に大きな転機となったのは、パリ国立高等音楽院在学中の2012年5月です。この年、世界的に権威のあるエリザベート王妃国際音楽コンクールにおいて、並み居る強豪の中で第2位に入賞し、ウジェーヌ・イザイ賞も併せて受賞しました。この快挙により、彼の名は国際的に広く知られることとなります。

その後もコンクールでの活躍は続き、2010年のロン＝ティボー国際コンクールでの第2位（サセム賞受賞）、2013年の仙台国際音楽コンクールでの第2位など、主要なコンクールで常に上位入賞を果たしています。また、ホテルオークラ音楽賞（2013年）、出光音楽賞（2014年）、上毛芸術文化賞（2015年）、道銀芸術文化奨励賞（2015年）など、数多くの文化・芸術賞も受賞しています。

演奏活動においては、日本国内の主要オーケストラ（日本フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団など）はもちろん、プラハ交響楽団など海外のオーケストラとも共演を重ね、そのソリストとしての力量を発揮しています。各地でのリサイタルや室内楽活動も積極的に行っており、その情感豊かな演奏は多くの聴衆を魅了しています。

現在使用している楽器は、宗次コレクションより貸与されている1711年製のストラディヴァリウス「タルティーニ」です。歴史ある名器を用いて、その輝かしい音色で聴衆を魅了し続けています。

私生活では、ピアニストの萩原麻未氏を妻に持ち、夫婦で音楽家として互いを支え合っています。成田達輝氏は、その確かな技術と情熱的な音楽性で、今後のクラシック音楽界を牽引していく存在として、さらなる飛躍が期待されています。

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