成田頼明

成田 頼明

日本の行政法学および地方自治法の分野で多大な功績を残した成田 頼明（なりた よりあき）は、1928年（昭和3年）1月20日に東京で生まれ、2012年（平成24年）11月17日に84年の生涯を閉じました。法学者として長年教育・研究活動に従事する傍ら、国の重要な政策立案に関わる審議会などで要職を歴任し、日本の行政システムや地方自治の発展に深く貢献しました。

東京大学法学部を1951年（昭和26年）に卒業後、さらに学びを深めるため同大学大学院に進み、1954年（昭和29年）に研究生としての課程を修了しました。特に研究の対象としたのは納税者訴訟であり、このテーマに関する独創的な論文によって1962年（昭和37年）に法学博士の学位を取得しました。これは、彼の研究者としての確固たる地位を確立する重要な一歩となりました。

教育者としてのキャリアは、横浜国立大学で始まりました。助教授を経て教授に昇任し、1978年から1982年の間は経済学部長を務めるなど、大学の運営にも深く関与しました。1993年（平成5年）に同大学を定年退官し、永年の功績により名誉教授の称号が贈られました。また、警察大学校でも教授として教鞭をとり、後に名誉教授となっています。これらの教育機関において、次世代を担う多くの研究者や実務家を育て上げ、行政法学および地方自治学の発展に寄与しました。

学術研究活動と並行して、成田氏は日本の公共政策、特に行政制度改革にも積極的に関わりました。地方分権推進委員会の専門委員として地域づくり部会の部会長を務めたのをはじめ、国土審議会委員、地方制度調査会副会長といった重要な公職を歴任しました。地方分権の実現は、彼の活動における主要なテーマの一つであり、その推進に向けた法制度の整備や具体的な施策について、専門的な見地から多くの提言を行いました。さらに、日本エネルギー法研究所の理事長としても活動し、エネルギー法制に関する研究の振興にも尽力しました。

成田氏の研究成果は、多数の優れた著作として世に問われました。単著としては、行政法の基礎理論を体系的に解説した『行政法序説』（有斐閣）や、地方分権改革の重要性を説いた『地方分権への道程』（良書普及会）、そして行政法学における自身の論考を集大成した『分権改革の法システム 著作集』（第一法規出版）などがあります。これらの著作は、行政法学や地方自治学の研究者にとって不可欠な文献となっています。また、他の著名な法学者との共著や編著も多数あり、『行政法講義』（青林書院新社）や、地方自治に関する重要な判例を網羅した『体系地方自治判例集』（第一法規出版）などは、研究者のみならず実務家からも高く評価され、広く利用されています。

行政法学、地方自治学における成田氏の深い学識と貢献は、多くの研究者から尊敬を集めました。横浜国立大学を退官する際には『国際化時代の行政と法』、古稀を記念しては『政策実現と行政法』と題された記念論文集が刊行されたことは、その学術的な影響力と、後進からの厚い信頼と敬愛の念を示しています。

晩年は、2012年（平成24年）11月17日、肺炎により84歳で永眠しました。成田頼明氏が生涯を通じて積み重ねた研究業績、そして行政改革への貢献は、日本の行政法・地方自治の学術と実務の発展に不可欠な礎として、今なお大きな光を放っています。

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