成都事件

成都事件

成都事件とは、1936年8月24日に四川省の成都で発生した、日本人4名が暴徒に襲撃され、2名が命を落とし、2名が重傷を負うという衝撃的な事件です。この事件は、日本と中国の緊張を如実に表す出来事となりました。

背景

事件の背後には、当時の国際情勢や日本の外交方針が影響を及ぼしていました。この頃、日本は満洲事変の影響を受け、中華民国に対して強硬な姿勢をとっていました。特に、成都には日本の総領事館が再開される計画があり、日本側は岩井総領事代理を派遣し、開館の運びを進めようとしていました。しかし、中国側は日本の既得権益を無視し、開館に強く反対しました。これにより、学生や市民による反日運動が激化し、成都では「開館反対」を訴える集会が相次ぎました。

事件の発生

8月21日、岩井代理に同行する形で成都に向かったのが、大阪毎日新聞の特派員である渡辺洸三郎、上海毎日新聞の深川経二、南満洲鉄道の田中武夫、そして漢口邦商の瀬戸尚の4名でした。彼らの目的は視察でしたが、成都に到着した数日後、常宿にしていた大川旅館で暴徒に襲撃されました。この暴徒の攻撃により、渡辺と深川の2名は命を落とし、田中と瀬戸は重傷を負いました。殴り殺された二人は、暴力の凄まじさを象徴するかのように、無残な姿で道に放置されました。これらの遺体は、夏の暑さで変色し、目を覆うような状況でした。

事件の反響とその後

成都事件は、日本国内で大きな反響を呼び起こしました。日本国民は、この事件に対する憤りを示し、日中関係は危機的な状況に陥りました。事件発生から数日後の9月3日、北海事件も起き、日本人のさらなる殺害が発生しました。これらの事件は、日本政府に対して排日の思想根絶に向けた取り組みを促す要因となり、両国国交の解決を目指す交渉が始まることとなります。

具体的には、川越駐中大使を通じた全般的な国交調整交渉が9月から開始され、4ヶ月間にわたり続けられましたが、進展は乏しく、11月に発生した綏遠事件も影響し、最終的には交渉は不成立に終わります。しかし、成都事件と北海事件は、中国側からの謝罪、責任者の処罰、被害者遺族への賠償という形で、事件の幕が引かれることになりました。

このように、成都事件は日中関係において非常に重要な出来事であり、歴史に深く刻まれています。

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