我喜屋優

我喜屋優氏（がきや まさる）は、1950年6月23日に沖縄県島尻郡玉城村で生まれた、元アマチュア野球選手であり、長年にわたり高校野球の指導者として活躍した人物です。

高校時代、地元沖縄の興南高校で野球部に所属。1968年の第50回全国高等学校野球選手権大会では、四番打者、中堅手、そして主将としてチームを牽引しました。エースの力投もあり、チームは準々決勝を突破し、沖縄県勢としては春夏を通じて初めての甲子園ベスト4に進出。この快進撃は「興南旋風」と呼ばれ、沖縄野球の存在感を全国に示し、大きな話題となりました。この大会では、本職の外野手に加え、投手としてもマウンドに立つ経験もしています。

高校卒業後は、静岡県に拠点を置く大昭和製紙に入社し、社会人野球選手としての道を歩みました。入社から4年後に、系列会社の北海道白老町の大昭和製紙北海道へ移籍。ここでは中心選手として活躍し、1974年の都市対抗野球大会では、チームを北海道勢として初の全国優勝に導く原動力となりました。この大会では準々決勝での本塁打など、打撃面でも貢献。翌1975年の都市対抗では2年連続で決勝に進むも準優勝。1981年の社会人野球日本選手権でも決勝に進出しましたが惜しくも敗れ、準優勝に終わっています。選手としてだけでなく、社会人チームの監督も経験。この社会人野球での経験、特に寒冷地のチームが全国で勝利するための戦術やノウハウは、後に駒澤大学附属苫小牧高校を率いて夏の甲子園連覇を達成する香田誉士史監督に影響を与えたことでも知られています。

社会人野球界での活動を経て、2007年に母校である興南高校の野球部監督に就任しました。就任からわずか3年後の2010年、チームを春の選抜高等学校野球大会と夏の全国高等学校野球選手権大会の両方で優勝という、歴史的な快挙に導きました。これは、史上6校目となる春夏連覇であり、同時に沖縄県勢としては夏の甲子園で初めての優勝という、長年の悲願を達成するものでした。この偉業は、再び「興南旋風」を巻き起こし、沖縄のみならず全国の高校野球ファンに深い感動を与えました。

我喜屋氏は野球指導にとどまらず、教育者としても活動の幅を広げました。2010年7月からは、興南中学・高校を運営する学校法人興南学園の理事長に就任。さらに2011年4月からは、同校の校長職も兼務し、学校全体の運営にも尽力しました。2024年3月31日をもって校長職は退きましたが、理事長としては引き続き学園運営に関わっています。

我喜屋氏の指導のもと、興南高校からは数多くのプロ野球選手が育っています。主な教え子には、島袋洋奨投手、大城滉二選手、宮城大弥投手といったプロの世界で活躍する選手たちがいます。また、自身の野球哲学や指導論をまとめた著書も複数出版しており、『日々、生まれ変わる』、『非常識 甲子園連覇監督に学ぶ 勝ち続ける強いチームのつくり方』、『逆境を生き抜く力』などがあります。

選手として沖縄勢初の甲子園ベスト4、社会人選手として全国優勝、そして指導者として沖縄県勢初の夏の甲子園優勝および史上6校目の春夏連覇という、輝かしい実績を持つ我喜屋優氏は、沖縄野球の歴史において、その発展と全国レベルでの地位向上に多大な貢献をした人物と言えるでしょう。その経験と哲学は、多くの後進に影響を与え続けています。

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