香田誉士史

佐賀県佐賀市出身の香田誉士史（こうだ よしふみ）は、1971年4月11日生まれの元アマチュア野球選手であり、現在は指導者として活躍しています。

選手としての歩み

香田氏は、佐賀県立佐賀商業高等学校時代に中堅手として才能を発揮し、全国高等学校野球選手権大会（夏の甲子園）に2度（第70回、第71回）、選抜高等学校野球大会（春の甲子園）に1度（第61回）出場しました。3年生の夏には甲子園で本塁打を放つなど、その打撃力を見せました。高校の同期には森田剛史氏がいました。

高校卒業後は、東都大学野球リーグの名門、駒澤大学に進学。大学ではリーグ戦通算48試合に出場しましたが、目立った成績ではありませんでした。しかし、当時チームには若田部健一氏、竹下潤氏（2学年上）、鶴田泰氏、田口昌徳氏（1学年上）、河原純一氏、高木浩之氏、本間満氏（1学年下）など、後にプロで活躍する多くの選手が在籍しており、恵まれた環境で研鑽を積みました。

指導者としてのキャリア

香田氏の指導者人生は、母校の佐賀商業高等学校から始まりました。1994年4月にコーチに就任し、その夏の全国優勝に貢献。翌1995年4月には部長に昇進しています。

1996年4月、香田氏は北海道の駒澤大学附属苫小牧高等学校へコーチとして移り、1997年4月には監督に就任。2001年夏、チームを35年ぶりの甲子園出場に導きます。この大会と、その後の2002年秋（明治神宮野球大会）、2003年春（選抜）、夏（選手権）では初戦敗退が続きましたが、2004年夏（第86回）の選手権大会で駒大苫小牧高校は北海道勢初となる全国制覇を達成します。さらに、翌2005年夏（第87回）には、史上6校目となる夏の選手権連覇という偉業を成し遂げました。同年秋の明治神宮野球大会（第36回）でも優勝し、秋の全国大会でも北海道勢初のタイトルを獲得。その後も、2006年夏には決勝進出するなど、駒大苫小牧高校を全国屈指の強豪校に育て上げました。

駒大苫小牧高校退任後も、香田氏は指導の道を歩み続けます。2008年5月には神奈川大学野球連盟の鶴見大学でコーチとなり、2010年4月には部長に就任。2012年1月からは、社会人野球チーム・西部ガス（福岡）のコーチに就き、2017年9月には監督に昇格。2020年の都市対抗野球大会でチームをベスト8に導くなど手腕を発揮しましたが、2023年シーズンをもって勇退しました。

そして、2024年シーズンからは、選手時代を過ごした母校、駒澤大学硬式野球部の監督を務めています。

エピソード

駒大苫小牧高校の選手たちが監督就任時から行っていた人差し指を立てる決めポーズは、香田氏の「ベストを尽くす」というアドバイスから生まれたとされています。このポーズは高校野球界で広く真似されるようになり、2006年夏の甲子園決勝で駒大苫小牧を破った早稲田実業や、国外のチームにも影響を与えるほど浸透しました。

日本代表チームのコーチに2度要請されたものの、いずれも辞退しています。2005年夏は所属部の不祥事により、2006年夏は体調不良が理由でした。

風貌が2006年夏の主将だった本間篤史氏と似ていたことから、「親子？」という冗談が囁かれていたエピソードは有名です。本人たちもこの似ていることを自覚しており、甲子園後の報告会でお互いの名前を入れ替えて挨拶し、会場を沸かせました。このネタは、本間氏の入学直後に香田氏が言い出したのが始まりだそうです。

北海道勢として初の高校野球全国制覇を成し遂げた香田氏ですが、これに先立ち北海道勢初の都市対抗野球制覇を大昭和製紙北海道で実現した我喜屋優氏（後に興南高校監督）から、有益な助言を得ていたことが知られています。我喜屋氏も2010年に興南高校を率いて春夏連覇、沖縄県勢初の夏制覇を達成しています。

また、香田氏の息子、太河氏は亜細亜大学で野球部に所属し主務を務めました。2024年春の東都大学野球リーグ戦では、父が監督を務める駒澤大学と息子が所属する亜細亜大学が対戦し、話題となりました。

全国大会での成績（監督として）

秋季大会（明治神宮野球大会）：出場3回、5勝2敗、優勝1回（2005年）
春季大会（選抜高等学校野球大会）：出場2回、1勝2敗、優勝0回、準優勝0回
夏季大会（全国高等学校野球選手権大会）：出場6回、14勝4敗1分、優勝2回（2004年、2005年）、準優勝1回（2006年）
通算：出場12回、20勝8敗1分、優勝3回、準優勝1回

野球界の指導者として長いキャリアを持ち、特に駒大苫小牧高校での夏連覇という功績は日本の高校野球史に燦然と輝いています。現在は母校駒澤大学の監督として、新たな歴史を築くべく指揮を執っています。

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