戦功十字章

戦功十字章とは

戦功十字章（せんこうじゅうじしょう、ドイツ語: Kriegsverdienstkreuz）は、第二次世界大戦中にドイツで制定された勲章です。この勲章は、戦闘に従事しない後方での功績を評価するために用いられ、特にその重要性は、前線での戦いを支えるための様々な活動を認識する点にあります。具体的には、警察任務や強制収容所、さらには兵器の開発や生産、一般市民の士気の向上に寄与した功績が授与の対象となりました。

制定と種類

戦功十字章は1939年9月18日に正式に制定されました。勲章には剣付きと剣無しの2つの種類があり、剣付きは戦闘における功績を、剣無しは非戦闘における貢献を評価するものとされました。それぞれに、二級、１級、騎士、黄金騎士の4つのランクが存在します。特に、騎士十字章は1940年に、黄金騎士十字章は1944年に、新たに整備された制度として加わりました。注目すべきは、黄金騎士十字章が授与された受章者がわずか2名であることです。このように、戦功十字章は複数の階級を設けて、功績に応じた評価が行われる仕組みを持っていました。

デザイン

戦功十字章のデザインは、マルタ十字型で構成されており、中央にハーケンクロイツが配置され、周囲は葉冠に囲まれています。二級と騎士章のデザインはほぼ同じですが、裏側には1939年の制定年が刻まれています。一級章では、裏側にピン式のバッジが採用されており、佩用する際に特有のデザインを持っています。

授与のプロセス

授与の際には、受章者の地位によって異なる授与者が存在します。軍人の場合、陸海空軍の指揮官や師団長が授与を行い、受章者が一般市民や警察官である場合は閣僚が授与を行います。特に重要な騎士級の授与はアドルフ・ヒトラーが直接行うという特権が与えられていました。このため、騎士級の受章は非常に名誉あるものでした。

佩用のスタイル

戦功十字章は鉄十字章と同様に佩用方法が定められています。特に、二級と騎士章には綬があり、そのデザインは国家の色である黒、白、赤を基にしています。二級章はボタンホールから斜めに佩用され、一級章は左胸に、騎士章は襟元に佩用されます。なお、一級鉄十字章を持っている受章者は、例外的に一級戦功十字章を右胸に佩用する場合がありますが、その際はドイツ十字章がすでについているときは、一級鉄十字章の下に来るのが一般的です。

主な受章者

戦功十字章の受章者の中には、エルンスト・カルテンブルンナーやハインリヒ・ミュラーなど、歴史に名を残す人物も含まれています。これらの受章者は、様々な背景を持ち、勲章の授与によってその功績が認められました。戦功十字章は単なる勲章にとどまらず、その時代の価値観や歴史を反映した重要なシンボルでもありました。

参考文献

• - 山下英一郎『制服の帝国 ナチスの群像 下巻』ホビージャパン、2011年。
• - 『WWII ドイツ軍兵器集 〈火器/軍装編〉』ワールドフォトプレス、1980年。
• - Miller, Michael D.; Schulz, Andreas (2015) Leaders of the SS & German Police, Volume II. R. James Bender.

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