エルンスト・カルテンブルンナー

エルンスト・カルテンブルンナーの生涯

エルンスト・カルテンブルンナー（Ernst Kaltenbrunner, 1903年10月4日 - 1946年10月16日）は、オーストリア生まれの法律家であり、ナチス親衛隊（SS）の高官として知られています。彼の最終的な階級は親衛隊大将であり、武装親衛隊大将および警察大将でもありました。カルテンブルンナーは、ユダヤ人絶滅政策に深く関与したことで国際的に悪名高い人物です。

前半生

カルテンブルンナーは1903年、オーストリア＝ハンガリー帝国のオーバーエスターライヒ州にあるリート・イム・インクライスで生まれました。彼の父は弁護士、母は彼の父の妻であり、家庭はカトリック教徒でした。彼は7歳までラープで育ち、その後リンツの実科ギムナジウムに通い、学校生活の中で汎ゲルマン主義や反教権主義の思想に触れるようになりました。1921年にはグラーツの工科大学に入学し、化学から法学に転向し、1926年に法学博士号を取得しました。大学時代、カルテンブルンナーは炭鉱で働きながら学業を続け、労働者たちの友であると自負していました。

オーストリア・ナチ時代

彼は1928年にオーストリアの国家社会主義ドイツ労働者党に加入し、さらに1931年には親衛隊に入隊しました。ナチ党が政権を取ると、カルテンブルンナーはオーストリアにおいてナチ党の活動が活発化し、政府による厳しい取り締まりを受けました。彼は警察業務に従事しながら、ナチスの目的であるオーストリアのドイツ併合を支持する活動を続けました。1938年にはオーストリア併合後も重要な役職を任され、親衛隊の責任者として活動を行いました。これにより、ユダヤ人に対する迫害が一層激化しました。

国家保安本部長官

1942年、国家保安本部の長官であるラインハルト・ハイドリヒが殺害され、カルテンブルンナーがその後任に任命されました。彼はゲシュタポや刑事警察、情報機関（SD）など様々な組織を指揮し、ユダヤ人や占領地域における様々な人々に対する弾圧を実行しました。特に、ハンガリーにおけるユダヤ人の大量移送やアウシュビッツへの送還に関与したことで、その名はさらに歴史に刻まれました。

ヒトラー暗殺未遂事件

1944年にはヒトラーを狙った暗殺未遂事件が発生し、カルテンブルンナーはその捜査を担当しました。彼は捜査の結果として多くの人々を逮捕し、処刑を命じました。この事件により、彼の権力は一時的に強化されたものの、戦況が悪化するにつれ、彼の地位も危うくなっていきました。

捕虜とニュルンベルク裁判

1945年には連合軍に捕虜となり、最終的にドイツのナチス戦犯を裁くニュルンベルク裁判にかけられることになりました。彼はヒトラー暗殺未遂事件やユダヤ人絶滅政策における役割について起訴され、裁判では無罪とされる部分もありましたが、多くの戦争犯罪で有罪判決を受け、最終的に絞首刑にされる運命を迎えました。

最期

カルテンブルンナーは1946年10月16日、絞首刑にされました。彼の最期の言葉は、「私は祖国に仕えました。私は何の犯罪にも関与していない」といったものでした。彼の死は、ナチス政権下の戦争犯罪者の最期を象徴するものであり、今もなお歴史の影として語り継がれています。

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