戦艦バウンティ

戦艦バウンティ (1962年の映画)

『戦艦バウンティ』（原題: Mutiny on the Bounty）は、1962年にMGMが製作したアメリカ映画です。ルイス・マイルストンが監督を務め、マーロン・ブランドが主演を務めました。チャールズ・レデラーが脚本を手掛け、チャールズ・ノードホフとジェームズ・ノーマン・ホールによる同名の小説（1932年）を原作としています。

この映画は、軍艦「バウンティ」で実際に起こった反乱（バウンティ号の反乱）を再現したもので、ウィリアム・ブライ艦長に対する航海士フレッチャー・クリスチャンの反乱を描いています。過去にも同じ小説を原作とする映画が2本製作されており、本作は3度目の映画化となります。

特筆すべき点として、『戦艦バウンティ』は、ウルトラパナヴィジョン70によるワイドスクリーンで撮影された最初の映画です。

あらすじ

1787年、「バウンティ」はウィリアム・ブライ艦長の指揮のもと、イギリスからタヒチ島に向けて出帆します。その任務は、パンノキの実をジャマイカへ輸送することでした。この任務が成功すれば、西インド諸島の奴隷に安価な食料を提供できると期待されていました。

しかし、困難な航海のなかで、ブライ艦長の士官や兵に対する無慈悲な扱いは、副長フレッチャー・クリスチャン海尉の反発を招きます。クリスチャンはブライのやり方に異議を唱えますが、ブライは態度を改めようとしません。

「バウンティ」がタヒチに到着すると、そこはまさに熱帯の楽園でした。乗組員たちは安楽な生活と美しい女性たちに溺れていきます。クリスチャン自身も、マイミチという女性と恋に落ちます。

しかし、楽園での生活も束の間、再びブライの支配下での厳しい規律が待っています。水兵ジョン・ミルズをはじめとする乗組員たちは反乱を決意し、クリスチャンもそれに同意します。ブライと彼に忠実な一部の乗組員は小型ボートで追放されます。

クリスチャンは、乗組員の恋人たちを迎えにタヒチに戻り、イギリス海軍の追跡を逃れるため、遠いピトケアン島を目指すのでした。

史実との相違

映画では、史実と異なる点がいくつかあります。

映画では、ブライとクリスチャンは初対面として描かれていますが、実際には、彼らは以前に一緒に航海した経験があります。
クリスチャンの階級は士官ではなく、実際には航海士（准士官）です。
反乱は、実際にはブライが眠っている間に起きましたが、映画では目の前で起きたことになっています。
映画の最後で、クリスチャンはイギリスに帰国しようとし、それを恐れた仲間が「バウンティ」に放火して死亡しますが、実際にはピトケアン島で数年暮らした後、殺害されています。（数年後にイギリスに帰国したという説もあります。）

トリビア

この映画は、マーロン・ブランドの過激な行動によって、撮影中から話題となりました。ブランドは、友人のタヒチでの結婚式の飾り付けのために撮影スタッフを動員したり、自分のパーティーのために高価な食べ物や飲み物を空輸させたりしました。
ブランドは過食が原因で、衣装部から52本のズボンを調達することになりました。
ブランドは後に、マイミチ役を演じたタリタ・テリピアと実際に結婚しました。
映画のために「バウンティ号」の動くレプリカが製作されましたが、物語の終わりで燃やされる予定でした。しかし、ブランドは予備のレプリカが製作されない限り、撮影を続行することを拒否しました。最終的に、監督とプロデューサーは折れ、燃やすための複製を製作し、元のレプリカは保存されました。このレプリカは、2007年夏にイングランドのいくつかの港を訪問しましたが、2012年に発生したハリケーン・サンディの影響で沈没しました。

受賞

1962年版の映画は、アカデミー賞の作品賞を含む7部門にノミネートされましたが、受賞には至りませんでした。

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