戦術航空士

戦術航空士とは

戦術航空士（TACCO: Tactical Coordinator）は、主に哨戒機に搭乗し、戦術的な判断を行う航空機搭乗員です。彼らは、哨戒パターンの設定やソノブイの敷設プランの策定など、任務遂行に不可欠な役割を担います。日本語では「戦術調整士」と訳されることもあります。

任務機長としての役割

航空機の運航における責任者である指揮操縦士（PIC）よりも、戦術航空士が先任者である場合、戦術面においては戦術航空士に命令優先権が与えられます。このため、戦術航空士は任務機長（Mission Commander）として作戦全体を指揮・統括します。また、哨戒機に搭乗することから、パトロールプレーン・コマンダー（PPC）と呼ばれることもあります。

海上自衛隊における戦術航空士

海上自衛隊では、固定翼哨戒機（P-3C、P-1）に戦術航空士が搭乗します。P-3Cには1名が乗務しますが、P-1では作戦の高度化に対応するため、TACCO1とTACCO2の2名が乗務し、TACCO2はTACCO1を補佐します。海上自衛隊の各航空基地には、ASWOC（航空対潜水艦戦作戦センター）が設置されており、衛星通信システムを通じて命令の受領や戦術の実施状況を報告します。これにより、実質的な戦術の調整や選択を行い、効率的な哨戒任務を遂行することが彼らの使命です。また、緊急時には脱出の指示を下すなど、機長としての役割も担います。

戦術航空士の選抜と養成

戦術航空士は、主に航空学生から選抜されますが、防衛大学校や一般大学の卒業生である一般幹部候補生出身者もいます。幹部候補生学校を卒業する前の航空学生出身の飛行幹部候補生を除き、戦術航空士は全員が幹部です。操縦士と同様に、単独飛行が認められる初等操縦訓練を修了した後、本人の希望や適性に応じて操縦士候補生とは別の専門課程に進み、対潜戦に関する知識や技術を学びます。戦術航空士の養成課程を修了すると、操縦士と同じ金色のウィングマークが授与されます。

アメリカ海軍における戦術航空士

アメリカ海軍でも、固定翼哨戒機（S-3、P-3C、P-8）に戦術航空士が搭乗します。彼らの任務内容は、海上自衛隊の戦術航空士とほぼ同等です。P-8には2名の戦術航空士が搭乗します。

その他の航空機における戦術航空士

救難機では、ベテラン操縦士の中から選出された救難航空士が、任務機長として救難プランを策定します。

関連情報

• - 航空士 (自衛隊)
• - 戦術航空士とは - 教育航空集団司令部

戦術航空士は、高度な専門知識と判断力を必要とする、非常に重要な役割を担っています。彼らの存在が、安全保障や救難活動に大きく貢献していると言えるでしょう。

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