戴耀廷

戴耀廷（ベニー・タイ）の生涯と活動

戴耀廷（たい ようてい、Benny Tai）は、1964年7月12日生まれの香港大学法学副教授であり、中環占拠デモの主催者として知られています。彼は法学者としての側面だけでなく、香港の民主化運動における重要な人物として、その活動が注目されています。

来歴と学歴

1987年に香港大学を卒業し法学士号を取得後、ロンドン大学で法学修士号を取得しました。1991年には香港大学の法学副教授に就任し、教育者としてのキャリアをスタートさせました。また、1988年から2003年にかけて、香港政庁および香港特別行政区政府の下で、香港基本法のための諮問委員会や市民教育諮問委員会のメンバーとしても活動しました。これらの経験は、彼の政治観や社会運動への参加に大きな影響を与えました。

中環占拠デモ

2013年、戴は香港の普通選挙制度の実現を求めて、中環占拠デモを計画しました。このデモは、香港政府が中国政府の意向を受け、行政長官選挙における立候補を制限する方針を示したことに対する抗議活動でした。戴は民主派政党や活動家と連携し、デモの準備を進めました。

デモに至る経緯:

• - 2013年1月、中環占拠デモの計画を起草。
• - 3月27日、陳健民、朱耀明と共に中環占拠計画を正式に公表。
• - 普通選挙に向けた討論会や住民投票の計画を実施。
• - 台湾の太陽花学運の学生代表を招き、デモのノウハウを学ぼうとしました。
• - 2014年7月29日、香港政府との交渉が決裂。
• - 8月31日、中国全人代常務委員会が民主派を行政長官選挙から排除する方針を決定。
• - 9月9日、戴は陳・朱と共に中国政府の決定に抗議するため剃髪。
• - 9月28日、中環占拠デモを実行。これは当初10月1日の国慶節に予定されていたものだが、学生団体との連携により前倒しされました。

デモの拡大とその後:

中環占拠デモは、当初の計画とは異なり、香港全域に拡大しました。デモの主導権は学生団体に移り、戴の影響力は低下しました。その後、戴は香港大学の教職に復帰しつつも、デモへの参加を続けました。

• - 10月29日、教職復帰を発表。
• - 12月2日、陳・朱と共に自首することを表明。
• - 12月3日、自首し、その後釈放。
• - 2015年1月、違法集会を組織した容疑で出頭を要請され、その後釈放。

その後の活動と逮捕

2019年4月、裁判所は2014年の大規模デモにおける公的不法妨害などの罪で戴を有罪とし、禁錮1年4月の判決を言い渡しました。2020年7月には、香港国家安全維持法が施行されたことを受け、香港大学の評議員会により解雇されました。

さらに、2020年9月の立法会選挙に向けて民主派が計画した予備選挙をめぐり、国家治安維持法違反容疑に問われました。2024年5月には、香港高等法院より共謀罪で有罪判決を受け、同年11月19日には、革命を主導したとして被告の中で最も重い禁錮10年の量刑が言い渡されました。これらの出来事は、彼の活動が香港の政治状況に大きな影響を与えたことを示しています。

著作活動

戴は多数の著作も発表しており、その多くは香港の憲政や法治、民主主義に関するものです。これらの著作は、中国語で書かれており、彼の法学的な知識と社会的な関心を反映しています。

• - 《香港憲政的未來系列之三：兩制與一國的未來》（2015）
• - 《香港憲政的未來系列之二：民主的未來》（2015）
• - 《香港憲政的未來系列之一：法治的未來》（2015）
• - 《憲政・中國：從現代化及文化轉變看中國憲政發展》（2012）
• - 《司法覆核與良好管治》（2012）
• - 《香港特區的法律制度》（羅敏威合著、2011）
• - 《香港的憲政之路》（2010）
• - 《法治心：超越法律條文與制度的價值》（2010）
• - 《信仰與法律：基督徒在多元社會的公共角色》（2007）
• - 《平權？霸權？：審視同性戀議題》（關啟文、康貴華合著、2005）
• - 《佔領中環: 平和抗爭心戰室》（2013）

彼の著作は中国大陸では禁書とされており、香港や台湾の書物を参照していることから、彼の思想が中国政府にとって警戒の対象であることがうかがえます。

戴耀廷は、香港の民主化運動における重要な人物であり、その活動は香港の政治状況に大きな影響を与え続けています。彼の法学的な知識と社会活動への情熱は、多くの人々に影響を与え、今後の香港の行方を考える上で重要な視点を提供しています。

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