戸川町

戸川町

岡山県津山市に位置する「戸川町（とがわまち）」は、郵便番号708-0037を持つ歴史ある地区です。

地理

戸川町は、津山市内を東西に走る主要な道路、通称「奴通り」（岡山県道68号津山加茂線）の東側に広がっています。その境界は、北側で本町二丁目、本町三丁目、元魚町と接し、西側は福渡町および南新座に面しています。南側では南新座、新職人町、桶屋町と境を接し、東側は新魚町、新職人町に隣接しています。地区名の由来とも関連しますが、この地域を流れる吉井川の一帯は、古くから「戸川」、あるいは「富川」という別名でも呼ばれていました。

歴史と地名の由来

戸川町という地名は、古くこの地に存在したとされる「戸川（富川）の宿」という中世の宿場に敬意を表し、その中心地として名付けられたと伝えられています。歴史を遡ると、かつては単に「富川村」や「富川宿」とも呼ばれていました。戦国時代の史料にもその名を確認することができます。例えば、天正八年（1580年）8月15日付けの吉川元春が記した書状（『萩藩閥閲録』に収録）には、毛利方が村の城を攻めるにあたり、敵対する宇喜多方の軍勢が戸川に陣を敷いていたことが記されており、当時すでに戦略的な拠点となっていた可能性が示唆されています。

近代以降の変遷

明治時代に入り、市町村制度が施行される中で戸川町も大きな変遷を遂げました。1889年（明治22年）6月1日、町村制の施行に伴い、津山城下町の戸川町や、宮川より西側に位置する他の町々が合併し、西北条郡津山町の一部となりました。その後、1900年（明治33年）4月1日には、津山町が東南条郡津山東町を編入すると同時に、周辺の郡が再編され、西北条郡は西西条郡、東南条郡、東北条郡と合併し、苫田郡が成立しました。これにより、津山町は苫田郡に所属することとなります。大正時代に入った1923年（大正12年）4月1日には、苫田郡林田村が町制を施行し、名称を津山東町と改めました。最終的に、昭和初期の1929年（昭和4年）2月11日、苫田郡津山町は周囲のいくつかの町村と合併し、市制を施行して現在の津山市が誕生しました。戸川町はこの合併により、津山市の構成要素として現在に至ります。

現在の戸川町

現代の戸川町には、いくつかの施設が所在しています。具体的には、吉田楽器や、妙願寺、長泉寺といった寺院などが挙げられます。交通面では、前述の岡山県道68号津山加茂線が主要な幹線道路として地区を通っています。また、行政による統計情報として、2021年（令和3年）1月1日現在の世帯数と人口のデータが存在します。教育面では、市立の小・中学校に通う場合の学区が定められています。

歴史的な由来を持つ地名でありながら、現代の都市生活の一部として、戸川町は津山市の中心部でその存在を保っています。

もう一度検索