戸田利兵衛 (二代)

二代戸田利兵衛：戸田建設の礎を築いた実業家

二代戸田利兵衛（ふみあき、1886年1月5日-1981年3月28日）は、日本の建設業界に多大な貢献を果たした実業家です。現在の戸田建設株式会社の前身である戸田組において、社長、会長の職を務めました。茨城県出身の彼は、東京帝国大学卒業後、初代戸田利兵衛の養子となり、1920年に家督を継ぎ、二代戸田利兵衛を襲名しました。

戸田組の全国展開

二代戸田利兵衛は、初代が築き上げた戸田組をさらに発展させました。1924年の横浜出張所開設を皮切りに、名古屋、大阪、釜石へと次々と拠点を拡大し、全国規模の総合建設業者へと成長させました。1936年には、戸田組を株式会社化、資本金200万円の「株式会社戸田組」として新たな時代へと踏み出しました。この組織的な拡大は、二代利兵衛の優れた経営手腕と先見性を示すものです。

建設業界の地位向上への貢献

二代戸田利兵衛は、東京建設業協会初代会長も務め、業界の発展に尽力しました。彼の活動は、単なる企業経営のみに留まりません。当時、請負業者の社会的地位は必ずしも高くなかったという事実があります。普通選挙法制定以前の法律では、請負業者は被選挙権を持たないという規定もあったほどです。

東京帝国大学時代の同級生から、請負業者としての自身の立場を厳しく指摘された経験を持つ二代利兵衛は、この社会的な認識の低さを痛感しました。この経験が、建築請負業者の地位向上のための運動へと彼を駆り立てた一つの要因と言えるでしょう。現代の地方自治法にも同様の規定があるように、政府との契約関係にある者が議員となることに公平性を欠くという趣旨の規定ではありますが、当時の社会通念として、請負業者の地位が低いという認識があったことは否定できません。

後世への遺産

1961年には、本社屋である新八重洲ビルの完成をみました。同年に社長の座を子息の戸田順之助氏に譲り、会長として会社を支えました。そして、1980年には、二代戸田利兵衛の強い意向により、翌年の戸田建設創業100周年記念事業の一つとして、戸田育英財団の設立準備が始まりました。これは、彼が教育への貢献にも意欲的であったことを示しています。

まとめ

二代戸田利兵衛は、単なる企業経営者としてだけでなく、建設業界の発展に貢献し、社会的地位の向上にも尽力した人物でした。東京帝国大学というエリート教育を受けたバックグラウンドを持ちながら、現場の苦労を理解し、社会貢献にも積極的に取り組んだ、その生涯は、現代のビジネスパーソンにも多くの示唆を与えてくれるでしょう。戸田建設の礎を築き、100周年記念事業として教育への貢献を残した彼の功績は、これからも長く語り継がれるに違いありません。彼の経験は、企業の成長と社会貢献の両立を目指す現代の経営者にとって、貴重な教訓となるでしょう。

もう一度検索