戸田旭山

戸田 旭山（とだ きょくざん）

戸田旭山は江戸時代中期に活躍した著名な医者であり、本草学者です。彼は備前国岡山に生まれ、岡山藩士鈴木五左衛門の長男として育ちました。幼名は万次郎。彼は小柄であったため、武道においての才能は発揮できませんでしたが、母の実家である戸田家を再興し、医業に専念することを決意しました。

経歴の始まり

彼の医の道は、まず京都に上り西本願寺に住むところから始まります。そこで按摩の技術を磨き、生計を立てることにしました。3年後に大坂に移り、乞食の住まいとしていた場所で按摩を行い、やがて町医者へと成長しました。当初の恩人に対する感謝の心を忘れず、毎年元旦には必ず挨拶に伺いました。

大坂の鰻谷箒屋町に自身の住まいを構え、庭には薬草を育て「百卉園」と名づけました。その後、本草学者である津島如蘭との出会いが彼の運命を大きく変え、彼は本草学に傾倒し、彼の門下生となりました。百卉園での彼の研究活動は、さまざまな薬材の研究へとつながりました。

薬品会の創設

宝暦元年、彼は本草学を広める活動に積極的に参加し、江戸で田村藍水が立ち上げた物産会に対抗する形で、宝暦10年（1760年）に薬品会を創設しました。この会では多くの品々が出品され、『本草綱目』などの古典を参照しつつ品評会が行われました。記録によれば、101名の参加者が208品の薬品を持ち寄り、その活動は非常に盛況でした。

その後も宝暦11年には物産会を、続いて宝暦12年には闘薬会を開催し、さらに明和元年には平賀源内を中心とした出品が特にクラウドと帰りまで注目されました。彼の活動は、薬物の理解を深めるとともに、多くの人々に医療の重要性を伝えました。

独特な診療スタイル

旭山の診療スタイルは非常にユニークでした。彼は一日10人の患者を診ることを決め、衣装には「ホイチン」と呼ばれる唐服を着用し、背中に装飾的な綬をつけて診察に出向く姿が印象的でした。往診の際には、患者の子供を駕籠の前に跪かせ、お辞儀をするのを礼儀として扱いました。この独特のスタイルは彼の個性を映し出しています。

また、診療中には患者への対応が常に公正であることを重視し、患者が亡くなった際には一切の謝礼を受け取らず、万が一受け取ることとなった場合でもその金を檀那寺に贈るという姿勢を持っていました。このような態度は、医者としての強い倫理観を表しています。

晩年と著作

旭山は74歳で生涯を閉じ、口縄坂の法岩寺に葬られました。彼の著作には医学に関する数多くの作品が存在し、『医学名数』や『救生堂圃史』などが特に知られています。これらは彼の知識や経験を体系化したもので、後の世代に大きな影響を与えました。

容姿や行動に独自の特徴があった戸田旭山ですが、彼の貢献は医療界にとって計り知れないものがあります。これらの活動を通じて、彼は時代を超えて人々に影響を与え続ける人となりました。

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