戸田鋭之助の生涯と業績
戸田鋭之助(とだ えいのすけ)は、
安政4年12月7日(
1858年1月21日)に
美濃国大垣藩の
家老戸田治部左衛門家の11代目として生まれました。彼は幼少期に両親を失い、
家督を継承して
家老職を担いましたが、年少ゆえに実際にその職務を果たすことはできず、祖母に育てられることとなりました。
明治維新後、戸田は古き藩主たちとは異なり、地方役人としての地位を得ることができず困窮しました。しかし、彼は学問への情熱を抱き、大阪開成所や後に
福澤諭吉の設立した
慶應義塾で学びました。
1873年に学業を中断し、故郷に戻った彼は、後に銀行業に進出することになります。
銀行経営への道のり
明治9年、
国立銀行条例の改正により、当時の
士族たちが国立銀行を設立する機会が訪れました。戸田もこの動きに加わり、
1878年に「第百二十九国立銀行」の設立を果たしました。彼は初期の役員として大きな影響を持ち、
1879年には副
頭取に就任、その後第2代
頭取にまで昇進しました。
1896年には株式会社
大垣共立銀行を設立し、その初代
頭取に就任しました。事業拡大の一環として、他の銀行との合併や新たな事業へも挑戦しましたが、
日露戦争後の経済危機には経営手法の見直しが必要となり、
安田財閥の傘下に入ることになりました。
大垣の政財界での活動
大垣商業会議所の発足当初から鋭之助は重要な役職を務め、
1893年には会頭に就任しました。彼はまた、多くの企業の設立にも関わり、特に
揖斐川電力や
都市ガス事業の起業に尽力しました。街の発展に寄与した証として、様々な感謝状を贈られることもありました。政界でも活動し、初代大垣町長としての役務も果たしました。
晩年とその後の影響
昭和に入ると鋭之助は徐々に役職を退きました。彼は商工業発展に貢献したことを称えて寿像が作られるなど、その功績は今も色濃く残っています。
1941年に83歳で亡くなり、その葬儀は
大垣市内で行われました。
家族・親族
鋭之助の家系は戦国武将戸田永重に遡る名家で、彼の父も藩主の子孫でした。妻や子女たちもそれぞれの分野で著名な
実業家や学者と結婚し、子供たちには鉄道官僚や銀行家として成功を収めた者もいます。また、彼の孫にはソニー創業者の一人が含まれているなど、彼の血筋は今なお影響力を持っています。
このように、戸田鋭之助は
幕末から
昭和にかけて、大垣地域の発展に寄与し、多くの人々に影響を与えた歴史的な人物であります。