戸谷松司

戸谷松司（とたに まつじ）

プロフィール

戸谷松司は、1921年6月30日に兵庫県印南郡米田町（現在の加古川市）で生まれ、1999年6月26日に心不全のため神戸市で亡くなりました。享年77歳。彼は日本の政治家として、特に姫路市長としての功績が知られています。

生い立ちと学歴

戸谷は6人兄弟の三男として生まれ、実家は宝殿駅前で料亭「荒熊」を経営していました。父親は元大阪相撲の関脇という異色の経歴の持ち主でした。旧制姫路中学校、姫路高等学校を経て、1944年に京都帝国大学工学部土木工学科を卒業しました。

官僚としてのキャリア

大学卒業後、戸谷は建設省に入省し、その後、九州電力嘱託、島根県土木砂防電気課長補佐、徳島県土木部河川課長、広島県土木建築部河川課長を歴任しました。島根県在籍時には、後に総理大臣となる竹下登との知遇を得ています。

1966年、戸谷は兵庫県庁に移り、土木部河川部長、企画部長、土木部長を経て、1976年から1983年まで兵庫県副知事を務めました。県庁時代には、知事と副知事の対立の中で、副知事の派閥に属し、後にその副知事が知事になると、彼も副知事に抜擢されました。後任の知事候補として名前が挙がった際には、「自分は貝原氏が適任である」と述べています。

姫路市長としての活躍

1983年4月、戸谷は姫路市長選挙に立候補し、三つ巴の選挙戦を制して当選しました。その後、3期12年姫路市長を務め、その間に姫路獨協大学の誘致、日本城郭研究センターや姫路文学館の設立など、文化施設の充実と文化振興に尽力しました。1989年には姫路百祭シロトピアを開催し、地域文化の活性化に大きく貢献しています。市長退任後には、特に姫路獨協大学の誘致と姫路城の世界遺産登録が最も印象深い仕事であったと述べています。

受賞と名誉

1995年には勲三等旭日中綬章を受章しました。また、姫路市立美術館館長を務め、1997年には第21回井植文化賞（地域活動部門）を受賞。1996年4月1日には、姫路市名誉市民の称号を贈られています。

人物像

若い頃は「ケンカ松」と呼ばれるほど喧嘩っ早い一面があり、姫路市長時代には、ブレーンの小室豊允から「トップダウンそのもの」と評される手法で市政を運営しました。その一方で、芸者衆からは「トーさん」と親しまれるなど、粋な遊びを好む一面も持ち合わせていました。

その他

俳優の藤田まことは、戸谷のいとこにあたります。

著書

「ロシア」から「ソ連」へ（1978年）
未来の国ブラジル（1979年）
人と文化と都市（1982年）
二十一世紀への力強き前進（1986年）
文化：その都市を育むもの（1988年）
歴史文化都市への飛翔（1993年）

関係資料

小室豊允の《夢対談》　”新世紀を語る”　瀬戸内海世界都市姫路の文化づくりを　戸谷松司(姫路市長) 『月刊神戸っ子』1992年1月
望月美佐の市長対談　歴史をしのび、自然に想う、文化の庭・好古園　戸谷松司さん(姫路市長) 『月刊神戸っ子』1992年5月
藤本統紀子のおしゃれ対談　世界に誇る「姫路城」　祝・世界遺産姫路城記念行事「キャスティバル’94」　戸谷松司さん(姫路市長) 『月刊神戸っ子』1994年4月
第21回井植文化賞～地域活動部門～　姫路市の文化的街づくりに貢献　戸谷松司　『月刊神戸っ子』1997年8月
追悼　戸谷松司氏　姫路白陵会会長・前姫路市長　戸谷さんを悼む（空地啓一・姫路白陵会副会長）『白陵』（旧制姫路高等学校同窓会）20号（2000年2月）
豪の人、情の人: 人間戸谷松司　小室豊允 著 筒井書房 2001年

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