房室結節

房室結節について

房室結節（ぼうしつけっせつ）は、英語で「atrioventricular node」または略してAV nodeとも呼ばれ、心臓における重要な刺激伝導系の一部です。この結節は、心房と心室の間に位置しており、心臓のリズムを制御する役割を担っています。

この結節の発見は、田原淳がルードヴィッヒ・アショフの研究室で行った研究によるもので、心臓の右心房の下部、心室中隔に近い位置にあります。房室結節の特筆すべき点は、心房からの刺激がこの結節を通過する際、その伝導速度が非常に遅いことです。一般的に、房室結節では刺激が毎秒約5cmから10cmの速度で伝わりますが、プルキンエ繊維の速度と比較すると約10分の1以下です。この遅い伝導速度は、心房と心室の収縮を調整するための重要な役割を果たします。

房室結節への刺激の伝導は、一部に結合組織が存在するため、心房の固有心筋から心室の固有心筋へ直接的には伝わりません。通常、心房と心室は隔てられており、刺激伝導はヒス束を介して心室へと伝達されます。このように、房室結節は心房と心室の間に時間差を持たせ、適切な収縮を調整しています。

また、房室結節には自動能が備わっており、洞房結節からのリズムが欠如した場合、房室結節が一定のリズムを生成します。通常の状態では、洞房結節が70回/分のリズムを送り出しますが、もしこのリズムが途切れた場合、房室結節はおよそ40回/分の遅いリズムを生み出します。これにより、心臓の動きが遅くなり、徐脈となることがあるため、臨床的には注意が必要です。

房室結節の機能に関連するその他の用語としては、プルキンエ繊維が挙げられます。これらの繊維は、心筋の興奮が順次伝播する際に重要な役割を果たしています。また、心臓の構造と機能についての理解を深めるための情報は、ビジュアル生理学などの外部リソースで確認することができます。

このように、房室結節は心臓の正常な機能を維持するために不可欠な要素です。心房と心室の協調的な収縮を促進し、心臓の鼓動をリズミカルに保つためには、この結節の正常な機能が必要不可欠であることが分かります。

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