所務沙汰

所務沙汰（しょむさた）とは

所務沙汰は、中世日本で使われた特定の法律用語であり、主に所領や年貢に関する相論や訴訟のプロセスを指します。この用語は、荘園および公領制の発展に伴って生まれ、平安時代から鎌倉時代にかけて発展していった法律制度の一部を形成しています。

所務の由来

「所務」という言葉は、もともと「仕事」や「職務」を意味していました。しかし、平安時代に入ると、荘園と公領の管理に関連する権利や義務を表す語としての使用が増え始めました。この過程で、所務は徐々に不動産の管理や、さらにその收益の管理を示すようになりました。結果として、所務沙汰は所領から得られる収益に関する訴訟や論争を指し示すようになったのです。

所務沙汰の手続き

鎌倉幕府では、所務沙汰を取り扱う専門の役職が存在しており、これを「引付衆」と呼びます。彼らは所務沙汰の手続きを体系的に行う役割を担っていました。具体的な手続きは以下のように構成されています。

1. 訴状の受理: 訴人（原告）が訴状を提出すると、問注所がそれを受理し引付衆に進達します。
2. 訴状の開示: 引付衆は、訴状を論人（被告）に開示し、被告に書面（陳状）での反論を求めます。
3. 反論のやり取り: 被告からの陳状は、再度引付衆を介して原告に渡されます。その後、訴人は書面で二度まで反駁することができ、論人も同様に二度まで反論することが認められています。このプロセスは「三問三答」として知られています。
4. 当事者の招集: その後、当事者を招集し、直接的に相論を行わせます。
5. 評定会議での判決: 引付衆は、相論の結果を評定会議に上申し、そこで判決が下されます。勝訴が確定した場合、勝者には下知状が交付されます。

このように、所務沙汰は中世日本において非常に重要な役割を果たしていました。複雑な手続きのもとに、法律的な相論を運営し、当事者間の紛争を解決するための枠組みが整えられていたのです。また、引付衆をはじめとした関連する役職や機関が、社会的秩序を維持するために重要な役割を担っていました。

関連項目

• - 引付衆: 所務沙汰を取り扱う専門の役職。
• - 内談衆: 内部の相談に関わる役職。
• - 内談方: 内部会議の手法や体制。
• - 雑訴決断所: 多様な訴状を処理する機関。
• - 管領: 武家政権における指導的地位。

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