扇屋 (百貨店)

株式会社扇屋と扇屋ジャスコ：千葉の商業史を彩った企業の軌跡

1933年、安田栄司氏によって千葉市に創業された扇屋は、当初はモスリン店としてスタートしました。その後、呉服店を経て、1948年に株式会社扇屋本店として法人化。衣料品店として順調に成長し、1952年には大宮店を開店、チェーン展開を開始しました。

1959年には千葉市に扇屋百貨店を開業。積極的に売場を拡大し、1965年には千葉県で2番目に大きな百貨店へと成長を遂げました。売上高30億円を記録し、ライバルである奈良屋との激しい競争を繰り広げました。当時、扇屋百貨店の売場面積は9,859㎡に達していました。

成長を続ける扇屋は、1969年には16店舗にまで拡大。さらなる発展を目指し、イトーヨーカ堂との合併も模索しましたが、実現には至りませんでした。その代わりに、イトーヨーカ堂などと共に共同仕入機構「ナルサ」を設立し、競争力を強化しました。

国鉄千葉駅前に進出した千葉そごうに対抗するため、1971年には松坂屋と業務提携。アパレル関連の強化を図りました。しかし、1975年には松坂屋との提携を解消。翌年には、ジャスコ（現在のイオン）と合併することになります。

ジャスコの岡田卓也社長は、関東進出戦略において、扇屋の規模、信用、人材を高く評価。安田栄司氏に合併を提案し、1976年8月21日、扇屋はジャスコに合併されました。合併時の扇屋は、百貨店とスーパーを合わせて22店舗を展開し、売上高280億円を誇る中堅チェーンに成長していました。

合併に伴い、扇屋の店舗網は子会社として設立された扇屋ジャスコに継承されました。しかし、扇屋ジャスコは、スクラップアンドビルドを進め、次々と店舗を閉鎖していきました。1996年には、扇屋時代から存続していた最後の店舗である亀有店も閉店しました。

そして1999年8月21日、扇屋ジャスコはジャスコに吸収合併され、66年の歴史に幕を閉じました。合併時の扇屋ジャスコは、ジャスコ15店舗とマックスバリュ4店舗を展開し、総資産は約642億円に達していました。

扇屋ジャスコの店舗は、その後イオンやマックスバリュに転換されて営業を継続した店舗、閉店した店舗など、様々な道を辿りました。例えば、臼井店、大網白里店、鎌取店などはイオンとして営業を続けています。一方で、茂原店などは閉店し、再開発が行われる予定です。

扇屋ジャスコは、千葉県の商業史において重要な役割を果たした企業でした。その歴史は、激動の時代を生き抜いた企業の努力と、時代の変化への対応を物語っています。かつて扇屋が展開していた店舗の跡地は、現在も地域の商業施設として機能しているものも多く、その歴史的意義は依然として大きいと言えるでしょう。扇屋、そして扇屋ジャスコの歴史は、日本の流通業界の歴史を考える上で、欠かせない要素となっています。

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