スクラップアンドビルド

スクラップアンドビルドとは

スクラップアンドビルド（scrap and build）は、既存の老朽化または非効率な設備や組織を廃棄（スクラップ）し、その上で新しい施設や設備、組織を構築（ビルド）することで、効率化や集中化を目指す手法です。この言葉は和製英語として使われています。

対義語としては、既存の設備や仕組みを維持しつつ拡張していく「スケーラビリティ」が挙げられます。

概要

スクラップアンドビルドは、工場などの生産設備や行政機構において、非効率な部分を刷新するために用いられます。具体的には、時代遅れとなった設備や組織を廃棄し、より効率的な新しいものに置き換えることを指します。

小売業界においては、老朽化した店舗や小規模な店舗を閉鎖し、同じ商圏内でより大規模な新店舗を建設・移転するケースが該当します。

具体例

炭鉱

1960年代以降、日本の炭鉱は事故対策や輸入石炭との競争激化により、経営状況が悪化しました。1962年、政府の石炭鉱業調査団は、石炭政策を転換するため、スクラップアンドビルド方式を答申しました。具体的には、老朽化した施設を持つ炭鉱を閉山し、新たな炭鉱へ集約するという施策です。

この施策に対し、全国52の炭鉱が無期限ストライキに突入しましたが、時代の流れを変えることはできず、ストライキは同年12月に終了しました。新設された炭鉱は、「スクラップアンドビルド」の語源から「ビルド鉱」と呼ばれました。

行政組織

日本の行政組織においては、新たな予算や組織（ポスト）、天下り先を新設する際に、組織の肥大化を防ぐ目的で既存の予算や組織を廃止することがあります。この手法は「スクラップアンドビルド方式」と呼ばれています。

商業施設

流通業界では、主にイオングループがスクラップアンドビルドを積極的に活用しています。例えば、自家用車での来店が難しい駅前立地の小型店舗や多層階の店舗を閉鎖し、郊外に大型駐車場を備えたショッピングセンターを建設して移転する手法が挙げられます。また、既存店舗を改築・改装する場合もスクラップアンドビルドの一環とみなされます。

この手法の結果として、地域社会の均質化、画一化を意味する「ファスト風土」が進む傾向があるという指摘もあります。

一方で、ジョイフル本田は既存の施設を撤去せずに拡張する手法を採用しており、スクラップアンドビルドとは異なる戦略をとっています。

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