手取川の戦い

手取川の戦い

手取川の戦い（てどりがわのたたかい）は、1577年9月23日に加賀国で行われた著名な合戦です。この戦いでは、上杉謙信軍が織田信長軍を撃破し、その後の歴史に影響を与える重要な出来事となりました。

戦の経緯

この合戦の背景には、能登の七尾城の守護である畠山義隆の死去（1574年）がありました。幼い畠山春王丸が城主となるものの、実権は重臣たちに委ねられることになりました。1576年、上杉謙信は能登を支配下に置こうと2万の軍を率い侵攻を開始します。この動きに対して、当時の能登の領主である能登畠山氏は七尾城にこもり、戦闘は長引きました。

1577年、関東地方では北条氏政が攻勢を強めており、謙信は一時的に春日山城に撤退します。この年の5月、畠山軍により上杉軍が奪還した冨木・熊木の両城が再度失陥し、7月には長続連が穴水城を攻めましたが、上杉家の重臣らはこれに反撃を試みます。しかし、その後長続連が要衝である長一族を平定することで、彼の地位は急激に危うくなります。

危機に陥った長続連は、織田信長に援軍を請願しました。信長もこの機会を見逃さず、柴田勝家を総大将とし、4万の軍勢を編成し加賀国へ出陣させました。

しかし、進軍は雨や情報封鎖の影響で遅延し、9月11日、織田軍が謙信軍を迎撃するチャンスを失います。続いて、信長の姻戚からも謀反が起こり、七尾城が陥落します。

合戦の展開

その後、柴田勝家率いる織田軍は七尾城落城の情報を知らされず、手取川を越え進撃を続け、小松村などを焼き払いますが、羽柴秀吉が離脱してしまいます。信長もこの離脱を快く思わず、状況はますます悪化しました。謙信は松任城に移動し、柴田軍に追いつく準備を整えます。

9月23日、織田軍が手取川を渡った直後に、上杉軍は反撃を開始しました。結果として、織田軍は大規模な損失を被り、戦死者や溺死者を含め1,000人以上が失われる大敗を喫しました。謙信はその後、勝利を収め、松波城を陥落させ、能登のほぼ全土を平定しました。

戦いの影響

この戦いは上杉謙信の軍事的才能を示す重要な出来事であり、彼の名声を高めました。また、織田信長の信貴山城における反旗を翻す動きや、関東との連携を生む契機にもなりました。この合戦は「上杉に逢うては織田も手取川 はねる」という落首が残され、上杉軍の追撃の勢いと、織田軍の逃げる姿勢を象徴しています。

一方で、この戦いにより織田信長は自軍の拡張政策に黄信号が灯ることとなり、以降の局面にも影響を及ぼすことになりました。この合戦は、単なる軍事的勝利にとどまらず、その後の日本の戦国時代における様々な人間関係や立地された地域の政治的中心勢力にも影響を与えました。手取川の戦いは、戦国時代の歴史に名を刻む合戦の一つであると言えるでしょう。

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