手当て療法

手当て療法とは

手当て療法は、手のひらや指先を患部に当てたり、かざしたりすることで身体の不調を改善しようとする療法です。触手療法、手のひら療法、手かざし、ハンド・ヒーリング、ヒーリング・タッチなど、様々な呼び方があります。世界各地で古くから行われており、宗教的な儀式や、難病や終末期医療における緩和ケアとしても用いられています。

手当て療法の種類

手当て療法には、様々な方法が存在します。大きく分けて、患部に直接手を触れる「接触型（手当て）」と、身体から少し離して手をかざす「非接触型（手かざし）」があります。

• - 接触型（手当て）: 患部に直接手のひらや指を当てて行います。
• - 非接触型（手かざし）: 患部から少し離して、手のひらや指先をかざして行います。

その他にも、手のひらの使い方（広げる、つぼめる）、手の動かし方（静止、振動）、呼吸法や意識の向け方など、様々なバリエーションがあります。

手当て療法の歴史

手当て療法は、古くから宗教と深く結びついてきました。信仰による癒やしや呪術的治療の一環として行われてきた歴史があります。新約聖書にも、信仰があれば手当てによる癒やしが可能であるという記述が見られます。

中世ヨーロッパでは、王が手を当てることで病気が治ると信じられ、「ロイヤル・タッチ」と呼ばれる儀式が盛んに行われました。近年では、宗教的な要素を排除し、宇宙エネルギーや生命エネルギーといった疑似科学的な理論を基にした手当て・手かざしが、エネルギー療法や補完医療として行われています。

海外では、極性療法（ポラリティセラピー）、セラピューティック・タッチ、スピリチュアル・ヒーリング、レイキなどが注目され、一部の国では医療の一環として取り入れられています。レイキは、日本発祥の「臼井式霊気療法」が海外で独自に発展したものです。

日本においては、江口俊博の「手のひら療治」、田中守平の「太霊道」、西勝造の「西式触手療法」、富田魁二の「富田流手あて療法」などがありました。また、中国の気功も、手当て療法的な外気功が含まれています。

手当て療法の有効性

手当て療法の有効性については、様々な研究が行われています。コクラン共同計画が2008年に発表した調査結果では、疼痛緩和に関してセラピューティック・タッチ、ヒーリング・タッチ、レイキを含む24件の研究が見つかり、疼痛を緩和する可能性があるとされました。しかし、この調査結果は2013年に取り下げられています。

2015年のメタアナリシスでは、非接触的治療において小さいながらも統計的に有意な効果が認められましたが、結果の異質性や研究の質に問題があることも指摘されています。

明治大学科学コミュニケーション研究所のサイトでは、手当て療法を疑似科学と位置づけています。

手当て療法を巡る事例

ハンドパワーで病気を治すと謳うセミナーを行った会社に対し、損害賠償を命じる判決が下された事例があります。また、セラピューティック・タッチを科学的な治療法として体系化した人物が、その効用を実証したとしてイグノーベル賞を受賞したものの、後に科学的な検証で否定された事例もあります。

まとめ

手当て療法は、古くから世界各地で行われてきた療法であり、様々な方法が存在します。有効性については科学的な根拠が乏しいという指摘もありますが、緩和ケアや精神的なサポートとして一定の役割を果たしている側面もあります。利用する際は、その特徴やリスクを理解した上で、慎重に判断することが重要です。

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