エネルギー療法

エネルギー療法とは

エネルギー療法は、様々な形態のエネルギーを利用して、心身の健康を促進しようとする補完・代替医療の一分野です。電気療法、磁気療法、手当て療法、遠隔ヒーリングなどが含まれます。エネルギー医学、エネルギー医療とも呼ばれます。

エネルギーの種類

エネルギー療法で扱われる「エネルギー」には、科学的に存在が証明されているもの（電磁気など）、科学的には未解明だが伝統的に用いられてきた概念に基づくもの（気、プラーナなど）があります。ホメオパシーやアロマテラピーも、薬剤の効果をエネルギーによると解釈する場合には、エネルギー療法の一種とみなされることがあります。

歴史

「エネルギー療法（Energy medicine）」という言葉は、1980年代に設立された「国際サトルエネルギー＆エネルギー医学学会」で使用され始めたのが起源とされています。

電気を使った治療の記録は古代エジプトに遡り、磁力を使う治療は古代アフリカや中国、ギリシャにも見られます。

鍼は、中国で数千年前から行われてきた伝統的な治療法です。ヨーロッパには、イエズス会の宣教師によって伝えられました。

手当て療法は、新約聖書にも記述が見られ、古くから世界各地で行われてきました。

さまざまなエネルギー療法

電気療法・磁気療法: 電気や磁気を利用して、神経や筋肉を刺激したり、血行を促進したりすることで、痛みを和らげたり、機能を回復させたりすることを目的とします。
鍼: 経穴（ツボ）を鍼で刺激することで、気の流れを調整し、自然治癒力を高めることを目的とします。
手当て療法: 手を患部に当てたり、かざしたりすることで、エネルギーを送り込み、癒しを促すことを目的とします。セラピューティック・タッチ、ヒーリング・タッチ、レイキなどが含まれます。
気功: 気を練り、体内に巡らせることで、心身のバランスを整え、健康を増進することを目的とします。

研究

エネルギー療法の効果については、様々な研究が行われています。しかし、研究デザインや対象となる療法の種類が異なるため、一概に有効性を判断することは困難です。

2000年のシステマティックレビューでは、遠隔治療と手当て療法を混在して調査し、57%が有効であったことから、さらなる研究の必要性が示唆されました。一方、スピリチュアルな治療や遠隔治療では、臨床における有効性を見出せなかったとするレビューもあります。

議論

エネルギー療法は、科学的な根拠が乏しいとして、疑似科学と批判されることもあります。また、プラセボ効果との区別が難しいという指摘もあります。しかし、一方で、慢性的な痛みやストレスの緩和に役立つとする報告もあり、その効果や安全性について、さらなる研究と議論が必要です。

NCCAMによる分類

アメリカ国立補完統合衛生センター（NCCIH）では、エネルギー療法を以下のように分類しています。

存在が科学的に証明されているエネルギーを扱うエネルギー療法: 磁気療法、電気療法、光療法、音振療法など
存在が科学的に証明されていないエネルギーを扱うエネルギー療法: 気功、レイキ、プラーナ、アーユルヴェーダ、クリスタル療法、心霊療法、セラピューティック・タッチ、ヒーリング・タッチなど

ただし、現在では、鍼や気功などを除き、エネルギー療法に分類されてきた療法は取り上げられていません。

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