手越河原の戦い

手越河原の戦いについて

手越河原の戦い（てごしがわらのたたかい）は、建武2年12月5日（1336年1月8日）に駿河国手越河原で展開された戦闘で、後醍醐天皇が足利尊氏討伐を新田義貞に命じ、新田軍と足利軍が衝突しました。この戦いは日本の歴史において重要な出来事であり、今もその痕跡が静岡市駿河区に残っています。JR安倍川駅の東口近くにはこの戦いを記念する石碑が設置されており、歴史を学ぶ良い機会となっています。

合戦の背景

手越河原の戦いは中先代の乱の一部として発生しました。この乱の中で、後醍醐天皇の皇子、護良親王は家臣によって命を奪われるという事件が起こります。その後、足利尊氏は後醍醐から時行討伐の許可を得ようとしましたが、後醍醐はこれを拒否。尊氏は許可を得ないまま征伐に出て、さらに征東将軍の称号を与えられ、鎌倉に拠点を築こうとしたのです。これを危惧した後醍醐は新田義貞に追討令を発出し、彼を鎌倉へ向かわせました。

矢作川の戦いが合戦の前触れとして重要な役割を果たしました。この戦いでは足利直義が指揮する20万の大軍が矢作川で新田軍に敗北し、直義勢は退却を余儀なくされました。

合戦の経過

さて、合戦当日、義貞は約67,000の軍を率いて京から出陣しました。尊良親王と共に東海道を進む新田軍に対して、足利尊氏は弟の直義を指揮官として東国の武士を集め、新田軍を迎え撃つ準備を整えました。

手越河原の戦いは正午に始まり、両軍は激突しました。戦闘は夜8時まで続き、合計で17回の激闘が繰り広げられました。結局、新田軍は夜襲に成功し、足利直義率いる軍勢は敗北しました。この戦いの結果、近江国の守護佐々木道誉の弟、貞満を始めとする多くの武士が戦死しました。また、佐々木道誉自身も新田軍に降伏し、新田軍に参加しました。

興味深いことに、『太平記』によれば、直義の家臣淵辺義博が身代わりとなって命を落とし、直義が逃げる時間を稼ぐ場面が描かれています。さらに南朝の視点から書かれたこの文献では、直義が鎌倉へ敗走したものの、新田義貞が伊豆国に兵を残していたため、薄情と評されるなど、彼の行動が批判されています。

この戦いは日本の武士の力のバランスを大きく変える出来事となり、その後の歴史に大きな影響を与えました。手越河原の戦いは単なる合戦にとどまらず、時代の転換を示す象徴的な事件でもありました。

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