打ち身

打ち身（挫傷）とは

打ち身（うちみ）は、医学用語では挫傷（ざしょう）と呼ばれるもので、日常的によく経験する怪我の一つです。これは、転倒や衝突、スポーツなどによる打撃、捻転、運動などの外力が原因で、身体内部の軟部組織が損傷した状態を指します。特徴として、皮膚に傷がないにもかかわらず、痛みや腫れ、内出血などが起こります。

一般的には「痣（あざ）」と呼ばれることもありますが、医学的には痣は外傷性のものだけでなく、先天的なものも含む広い概念です。したがって、外傷によって生じた打ち身による痣は、厳密には区別されます。

症状

打ち身の初期症状としては、損傷部位の内出血による腫れや発熱が見られます。時間が経つにつれて熱は引いていきますが、患部に負荷がかかると強い痛みを伴うことがあります。症状の程度や個人の体質によって回復期間は異なりますが、軽傷の場合は通常1週間程度で自然に治癒します。ただし、高エネルギー外傷（交通事故や高所からの転落など）による打ち身は、内臓損傷などを伴い、命に関わる場合もあるため注意が必要です。

応急処置と治療

打ち身をした直後の適切な応急処置は、早期回復に繋がります。

1. 冷却
患部の内出血を抑えるために、直ちに冷やすことが重要です。氷嚢や保冷剤をタオルで包み、患部に当てます。冷却により血管が収縮し、内出血を最小限に抑え、痛みを和らげる効果があります。
皮膚に傷がある場合は、患部を清潔な水で洗い、消毒してから冷やします。
2. 安静
患部をできるだけ動かさないようにし、安静を保ちます。これにより、組織のさらなる損傷を防ぎ、回復を促進します。
3. 圧迫
弾性包帯などで患部を軽く圧迫することで、腫れを抑えることができます。
4. 挙上
患部を心臓よりも高い位置に保つことで、腫れを軽減することができます。

痛みや腫れが引いてきたら、患部を温めることで血行を促進し、内出血の吸収を助けます。温湿布や蒸しタオル、または使い捨てカイロなどを利用すると良いでしょう。

病院を受診すべきケース

以下の場合は、重篤な損傷の可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。

患部が腹部や胸部の場合
手足であっても、激しい痛みや変形がある場合
頭部を打撲した場合
症状が改善しない、または悪化する場合

特に頭部を打撲した場合は、脳に損傷が生じている可能性があるため、注意が必要です。頭を高くして安静にし、容態の変化を注意深く観察してください。

整骨院での治療

整骨院では、アイシングや温熱療法などの物理療法が行われることがあります。一般的に、受傷後3日間程度は冷却し、その後は温めるのが基本とされています。冷却は血管を収縮させて痛みを和らげ、温めは血行を促進して組織の修復を助けると考えられています。ただし、アイシングは必ずしも氷を使用する必要はなく、冷たいタオルなどでも代用可能です。

理学療法

交通事故などの重傷の場合、病院や診療所において、医師の診断に基づき、理学療法士によるリハビリテーションが行われることがあります。理学療法では、痛みの軽減や機能回復を目的とした様々な治療法が用いられます。

健康保険の適用

アイシングや温熱療法は、医療行為または代替医療として、健康保険が適用される場合があります。ただし、整形外科と整骨院では、取り扱い疾患や治療法に違いがあるため、事前に確認することが重要です。

関連事項

捻挫
脳挫傷: 頭部を強打した際に、頭蓋骨内部で脳が衝撃を受けて生じる損傷
肺挫傷: 鈍的な外力が作用することで肺に引き起こされる損傷

脚注

日本整形外科学会
日本理学療法士協会

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