打狗港

打狗港：古の高雄港の歴史

打狗港（だくこう）は、現在の高雄港の古称であり、台湾の歴史において重要な港でした。この記事では、日本統治時代以前の打狗港に焦点を当て、その歴史的背景と発展について詳しく解説します。

漁港から貿易港へ

初期の打狗港は、漁港として機能していました。清朝が正式に開港する以前は、鳳山の管轄下に置かれていました。清代には、台湾南部で安平港に次ぐ港湾として発展し、安平港が堆積物の問題で大型船舶の利用が難しくなるにつれて、打狗港の重要性が増していきました。

打狗港の発展に伴い、周辺地域の開発も進み、物価の安さから多くの商人が集まり、貿易拠点が形成されました。イギリス領事館の設置により、イギリスの貿易拠点としての地位を確立し、対外貿易の発展とともに、港周辺には多くの集落が形成されました。旗后荘、塩埕埔荘、哨船頭、苓仔寮、三塊厝などの地名は、現在でもその名残をとどめています。

天津条約と開港

鄭氏政権以来、漁港として機能してきた打狗港は、1858年の天津条約締結により、台湾における4つの開港場の1つに指定されました。1864年には正式に開港し、漁港から商港へと転換しました。開港当初は税関が設置されておらず、廈門または淡水で税関業務が行われていましたが、手続きの煩雑さを解消するため、1864年5月5日に打狗税関が設置されました。

税関の設置により、旗后地区に商人が集まるようになり、イギリスの台湾貿易は大きく成長しました。これに対応するため、イギリス政府は台湾に領事館を設置し、1864年11月7日に打狗に領事館を設置しました。貿易取扱量が増大した一方で、当時の清朝は財政難であり、海防を重視した政策を実施していたため、大型埠頭の建設は実現しませんでした。

哨船頭

哨船頭（しょうせんとう）は、巡視船が使用した埠頭を意味します。清朝は海防のために巡視船を配置し、その巡視船が利用したのが哨船頭です。現在は高雄市鼓山区に位置し、観光埠頭として整備されています。その起源は康熙年間に形成された漁村に遡り、雍正11年には安平水師右営の打鼓汛兵営が置かれました。開港後は外国人の手による開発が進み、倉庫や税関、領事館などが設置されました。2000年以降、高雄市政府により整備計画が実施され、小型レジャーボートの停泊が可能な埠頭となり、周辺には海岸公園が設置され、高雄港の歴史と自然資源を活用した観光地として再開発されています。

雄鎮北門

雄鎮北門（ゆうちんほくもん）は、鄭氏政権時代に建設され、清代の1691年に城壁が築かれ、海防拠点となりました。牡丹社事件以降は砲台が設置され、日清戦争後の台湾民主国では、進駐する日本軍への抵抗拠点として使用されました。

打狗イギリス領事館

打狗イギリス領事館は、1865年に打狗港北岸の鼓山に設置され、当時のイギリスが税関業務を行うための拠点とされました。領事裁判権がイギリス政府に付与されていたため、内部には警察・司法機構も併設されていました。現在、台湾に残る西洋近代建築物の中で最も古い建築物の一つです。

旗后地区

同治2年に旗后税関分署が設置されると、旗后の通山里一帯は貨物の集散地として栄え、洋行や商店が集中し、打狗地区最大の商業地域となりました。通山巷付近は、当時の外国商人の密集地域でした。牡丹社事件以降、台湾巡視丁日昌により電信整備が行われ、光緒3年にはアモイと連絡がつき、旗后に電信分局が設置され、台湾の電信事業の始まりとなりました。

旗后灯台

打狗港が開港すると、多くの船舶が入港するようになりましたが、当時の航海設備の不足から座礁事故が多発しました。そのため、1883年に旗后の山上にイギリス人技術者によって西洋式灯台が設置されました。日本統治時代の1918年には、高雄港拡張工事の際に整備されましたが、戦災を受けました。戦後は国民政府による整備が行われ、高雄地区の航海設備として利用されています。

関連項目

• - 高雄港
• - 旗后砲台
• - 旗後天后宮

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