扱心流

扱心流柔術について

扱心流（きゅうしんりゅう）は、18世紀に犬上永保によって創設された柔術の流派です。この流派は「扱心一流」や「犬上流」とも呼ばれ、その技法は起倒流柔術に非常に類似しています。高い技術に支えられたこの流派は、日本の武道の中でも独自の位置を占めています。

歴史的背景

扱心流の創始者である犬上永保は、近江国犬上郡彦根に住んでいました。彼の家系は、犬上永勝に遡り、その永勝が速水円心から教えを受けたとされます。永保はさらに、叔父である棚橋良貞から組討術を学び、京都で滝野遊軒（滝野貞高）から起倒流柔術の技法を習得しました。このようにして、扱心流が形成されていったのです。

流派の開設は、彼が久留米藩に仕官したことによって広まりました。この歴史的な出来事により、九州地方の多くの藩でも扱心流が広く受け入れられるようになります。特に肥後国の熊本藩においては、扱心流の江口道場が肥後柔術の三大道場の一つとして盛況を誇り、多くの武士たちがここで修行しました。

さらに、江口道場の流派から多くの弟子が育ち、それぞれの地域で扱心流が広がっていきました。中でも窪田鎮勝は江口家から幕臣に養子入りし、江戸において扱心流を広めました。彼は幕府の講武所で柔術の師範を務めるなど、流派の発展に寄与しました。

技法と特徴

扱心流の技法は、主に投げ技や関節技を中心としたもので、相手の動きを巧みに捉えることが求められます。また、その技法には捨身技も多く含まれており、特に「陽ノ離レ」は警視庁で制定された警視流柔術でも採用されました。これは扱心流が現代の武道にも影響を与えていることを示しています。

系譜

扱心流は、犬上永保を起点に多くの流派へと発展していきました。その系譜には、以下の人物が含まれます。

• - 犬上左近将監永勝
• - 犬上群兵衛永友
• - 伊藤助兵衛重勝
• - 伊藤四郎兵衛宗正
• - 棚橋五兵衛良貞
• - 犬上郡兵衛永保
• - 犬上郡兵衛永昌
• - 石野作左衛門長鑑
• - 石野群左衛門長正
• - 空閑勝平利勝

...etc.

このように、扱心流の技術は世代を超え、さまざまな武士に受け継がれていきました。

結論

扱心流は、日本の伝統的な柔術の流派として、技術や歴史、系譜において非常に重要な位置を占めています。特に、江口道場などを通じて九州地方で広がった扱心流は、多くの武士たちに影響を与え、現代の武道においてもその技術が評価されています。

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