折橋徹彦

折橋徹彦：社会心理学の探求者

折橋徹彦氏は、1936年生まれの日本の社会心理学者です。関東学院大学名誉教授として、長年にわたり日本の社会心理学の発展に貢献してきました。その学究の歩みは、高度な専門知識と鋭い洞察力によって彩られています。

学歴とキャリア

東京で生まれ育った折橋氏は、1961年に成蹊大学政治経済学部を卒業後、一橋大学大学院社会学研究科に進学し、修士課程を修了しました。その後、一橋大学大学院博士課程に進学しましたが、1968年に中退しています。指導教官は著名な社会学者である南博氏でした。さらに、フルブライト留学生としてケント大学大学院に留学し、国際的な視野も養っています。

帰国後は、関東学院大学文学部で助教授、教授として教鞭をとり、多くの学生を育成しました。2007年には同大学を定年退職し、名誉教授の称号を授与されました。その後も、武蔵野学院大学教授として、研究と教育活動を精力的に続けました。

研究と業績

折橋氏の研究テーマは多岐にわたりますが、人間行動、特に社会状況における人間の行動様式や、人とのコミュニケーション、社会関係などに重点を置いています。その研究成果は、数々の著書や論文に結実しています。

主な著書

『状況の人間行動』（川島書店、1971年）: 状況が人間の行動に及ぼす影響を詳細に分析した、氏の代表作の一つです。
『人づき合いの科学 日本型社会の文法』（広済堂出版、1981年）: 日本社会特有の人間関係のあり方を、社会心理学的な視点から解明した力作です。
『やりにくい相手とうまくやる法』（日本実業出版社、1983年）: 日常生活における人間関係の悩みに対する具体的な解決策を提示しています。
『人生の社会心理』（八千代出版、1991年）: 人生における様々な局面を、社会心理学の枠組みで考察しています。
* 『箱根温泉旅館・福住樓 「行楽」の社会心理史の試み』（創元社、2010年）: 特定の事例を通して、社会心理学的歴史研究の方法論を示唆しています。

これ以外にも、多くの共編著や翻訳、学術論文を発表し、日本の社会心理学の発展に大きく貢献しました。例えば、『シルクロード紀行 イラン・トルコの遺跡を訪ねて』（北川原俊一郎氏との共著）や、『ゴッフマンの社会学 2 出会い 相互行為の社会学』（佐藤毅氏との共訳）などは、幅広い読者層に社会心理学の知見を広める役割を果たしました。

折橋氏の貢献

折橋徹彦氏の研究は、社会心理学の理論的深化だけでなく、私たちの日常生活における人間関係の理解や改善にも役立つ実践的な知見を提供しています。その業績は、日本の社会心理学界に多大な影響を与え、後進の研究者育成にも大きく貢献しました。氏の著作は、今日でも社会心理学を学ぶ者にとって貴重な参考文献となっています。 今後も、氏の研究が社会に与える影響は、計り知れないものと考えられます。

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