押しボタン式電話機

押しボタン式電話機について

押しボタン式電話機（おしボタンしきでんわき）は、ボタンを押すことで電話番号を送出する電話機の種類です。この方式は、回転ダイヤル式電話機（通称「黒電話」）に対して使われる用語であり、プッシュ式電話機とも呼ばれています。これらの電話機は、主にアナログ固定電話回線に接続され、局給電によって動作します。この項では、押しボタン式電話機の特徴や歴史、関連する技術について詳しく解説します。

ボタン配置と技術

押しボタン式電話機のボタン配置は、国際電気通信連合（ITU-T）によって勧告された設計に基づいています。電話番号を送出する際には、主に2つの方式が用いられています：ダイヤルパルス方式とトーンダイヤル方式です。

ダイヤルパルス方式

ダイヤルパルス方式は、押しボタンが押されるたびに、電信信号が送信される仕組みです。ボタンを押すことで、接続と断絶のパルスが生成され、それらが交換機へと電話番号を伝えます。この方式では、特定の番号（例：#から始まる番号）の利用が制限されることがあります。

トーンダイヤル方式

一方、トーンダイヤル方式では電話番号がトーン信号で送信されます。各ボタンには固有の周波数が設定されており、その信号により電話番号が迅速に送られます。1964年にAT&Tがこのサービスを開始し、最初の市販電話機として、Western Electric Model 1500が登場しました。このモデルは、10個のボタンからなるシンプルな配列であり、後に12ボタン式に進化しました。

日本における押しボタン式電話機

日本では、1969年にトーンダイヤル方式専用の電話機「プッシュホン」が初めて販売され、その後、回転ダイヤル式電話機と並んで利用されました。1985年には電話端末機器の自由化が進み、押しボタン式電話機の大半が、パルス信号とトーン信号の切り替え機能を持つようになりました。その結果、トーン回線とパルス回線が共存する環境が形成されました。

短縮ダイヤルサービス

押しボタン式電話機の基本的なサービスの一つに、短縮ダイヤルサービスがあります。これは特定の番号をあらかじめ登録し、数桁の押しボタン操作で直接電話をかけられる機能です。このサービスは1980年代にはオプションとして提供されましたが、現在は多機能電話機と置き換えられ、提供終了の見込みです。

DIALSサービス

また、押しボタン式電話機の活用として、DIALS（電話計算サービス）があります。特定の番号をダイヤルし、その後にプッシュ操作で計算式やライブラリ番号を入力することで、自動応答システムから音声で結果を得ることができます。このサービスは1980年代に開始され、利用者向けのマニュアルも配布されました。

歴史的な背景

押しボタン式電話機は、1969年5月17日に600-P形が発売され、その後「プッシュホン」という愛称が公募で決まりました。続いて、様々なモデルが発売され、1985年には電話端末機器の自由化が実現しましたが、近年ではその利用内容が多様化し、近代的な通信技術と共に進化しています。

まとめ

押しボタン式電話機は、電話通信の進化を反映する存在であり、ダイヤル方式の変化や日本での普及過程を通じて、今まで多くの人々の生活を支えてきました。これからの通信技術の発展においても、押しボタン式電話機の役割は重要であり、その歴史を知ることは大切です。

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