押本映治

押本映治：大正期のスターから名脇役へ

押本映治（おしもと えいじ、1900年1月3日 - 1946年5月26日）は、日本の俳優であり、本名は米村俊民（よねむら としたみ）です。芸名の表記には、押本英治、押本暎治、押本映二、押本榮二といったバリエーションが存在します。

創立間もない松竹蒲田撮影所に所属し、大正末期までは冒険活劇のスターとして活躍しました。その後は日活多摩川撮影所、大映東京撮影所などで、あらゆる役柄をこなす名脇役として知られています。

生涯

1900年（明治33年）1月3日、鳥取県岩美郡富桑村（現在の鳥取県鳥取市行徳）に生まれました。富桑尋常高等小学校（現在の鳥取市立富桑小学校）を経て、旧制鳥取県立鳥取中学校（現在の鳥取県立鳥取西高等学校）を卒業しました。

1920年（大正9年）5月、映画俳優を志して国際活映角筈撮影所へ入社しますが、間もなく退社したとされています。初期の資料によれば、1913年（大正2年）に大阪府大阪市へ移り、旧制大阪府立市岡中学校（現在の大阪府立市岡高等学校）に進学、同中学校卒業後は奈良県奈良市でモール映画協会を組織しますが、1920年（大正9年）秋には製作を中止したと記録されています。

同年9月14日、創立して間もない松竹蒲田撮影所へ移籍し、同年11月24日に公開された村田実監督映画『光に立つ女』で映画デビューを果たしました。浅黒い肌と太い眉が特徴的な好漢として、冒険活劇俳優として売り出され、関東大震災直後の1924年（大正13年）8月1日に公開された清水宏監督映画『峠の彼方に』で初主演を果たしました。1928年（昭和3年）からは脇役に回ることが多くなりましたが、同年2月18日に公開された野村芳亭監督映画『道呂久博士』や、翌1929年（昭和4年）1月5日に公開された清水宏監督映画『森の鍛冶屋』など、数多くの作品に出演しました。

一部の資料によれば、東京府荏原郡蒲田村女塚（現在の東京都大田区西蒲田辺り）や蒲田新宿（現在の東京都大田区蒲田辺り）に住み、身長は約160.6センチメートルから162.1センチメートル、体重は約56.3キログラムから60.8キログラムであったとされています。趣味は観劇、運動（野球・水泳・乗馬・拳闘）、カフェー巡りであったことが記されています。

1935年（昭和10年）1月15日に新設された松竹大船撮影所には参加せず、同時期に退社したものと思われます。その後はフリーランスとなり、1937年（昭和12年）6月1日に公開された重宗務監督映画『オヤケアカハチ』など、主に東京発声映画製作所の作品に出演しました。1940年（昭和15年）には日活多摩川撮影所に移籍し、同年5月8日に公開された野口博志監督映画『春ひらく』などに出演しました。

1942年（昭和17年）1月27日、戦時統合による大映の設立以降も継続入社し、日活多摩川撮影所改め大映東京第二撮影所（のちの大映東京撮影所）に所属して準主役・脇役として老練な演技を見せました。しかし、1945年（昭和20年）7月26日に公開された田中重雄・吉村廉両監督映画『最後の帰郷』以降の出演作品は見当たらず、第二次世界大戦終結後の映画出演歴はありません。以後の消息は不明とされていましたが、1946年（昭和21年）6月に発行された『月刊 西日本』にて、同年5月26日に病死したことが報じられました。満46歳でした。

初期には「押本七之助（1899年 - 1970年）の実弟」という説が流れましたが、後に否定されています。

主な出演作品

押本映治は、数多くの映画に出演しました。以下に主な作品をいくつか紹介します。

光に立つ女（1920年）
峠の彼方に（1924年）
森の鍛冶屋（1929年）
春ひらく（1940年）
シンガポール總攻撃（1943年）
最後の帰郷（1945年）

これらの作品以外にも、彼は様々な映画でその才能を発揮し、日本の映画史に名を刻みました。

外部リンク

日本映画データベース - 押本映治
allcinema - 押本映治

押本映治は、大正から昭和にかけての日本映画界において、その存在感を示した重要な俳優の一人です。彼の出演作品は、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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