拍手 (神道)

拍手（かしわで）とは

拍手（はくしゅ、かしわで）とは、神道の祭祀や神社、神棚などで神に拝礼する際に行われる行為です。一般的に「柏手」と書かれることがありますが、これは誤りです。

拍手の意味と種類

拍手は、両手を合わせ、左右に開いてから再び合わせる動作を伴います。この時、音を出すことが一般的で、その音には以下のような意味が込められています。

神への感謝と喜びの表現
願いを叶えるための神の呼び出し
* 邪気を祓う

また、神葬祭や慰霊祭などでは、静粛さを保つために音を控えめにする作法も存在します。

拍手の回数にも種類があり、神社での参拝作法である「二礼二拍手一礼」のように、3回以下のものは「短拍手（みじかて）」、出雲大社や宇佐八幡などの4回、伊勢神宮の8回のように、4回以上のものは「長拍手（ながて）」と呼ばれます。その他、8回打った後に短拍手を1回打つ「八開手（やひらて）」や、神葬祭での「忍び手（しのびて）」、直会での「礼手（らいしゅ）」などがあります。

拍手の歴史

明治維新以前は、神仏習合の影響で拍手の作法は地域によって様々でした。しかし、明治8年に式部寮から「神社祭式」が頒布され、拍手作法の統一化が図られました。現在の二礼二拍手一礼は、明治40年に「神社祭式行事作法」で定義され、昭和17年に内務省神祇院が編集した書籍で「再拝、二拍手、一揖」と明記されました。この作法は、第二次世界大戦中に軍隊でも採用され、広まっていきました。

現在でも、出雲大社や宇佐神宮のように四拍手を行う神社や、伊勢神宮のように八開手を行う神事も存在します。

拍手の作法

両手を合わせる際、指先まで合わせる作法と、意図的にずらす作法があります。ずらす理由としては、「音を良くする」「不浄の手と合わせない」「教派の違い」などが挙げられます。右手を左手から少しずらすと良い音が出ると言われますが、極端に大きな音を立てることは慎みを欠くとされています。

神道家の説では、天津神系は八拍手、国津神は四拍手、弁才天などは二拍手とされています。古神道の流派によっては、四拍手を二度繰り返して八拍手としたり、三拍手としたり、祖霊を迎える時のみ四拍手とする場合もあります。

拍手の由来

魏志倭人伝には、邪馬台国の風習として、貴人に対して跪拝の代わりに手を打っていたという記述があります。古代においては、神と人に関わらず、貴いものに対して拍手をする習慣がありましたが、次第に人に対しては行われなくなり、神に対する行為として残ったと考えられています。また、挨拶の際に拍手をすることで、武器を持っていないこと、つまり敵意がないことを示す意味もあったという説もあります。

「かしわで」という呼称は、「拍」の字を「柏」と見誤ったことが由来とされています。その他、宮中の料理人である「膳夫（かしわで）」との関連や、手を合わせた形が柏の葉に似ていることが由来とする説もあります。

備考

持統天皇の即位式で群臣が拍手をしたことが、天皇を神に見立てる儀礼として定着したとされています。

奈良時代には、天皇の即位宣命の後に参列者が拍手で応える形式がありましたが、跪いて32回も手を打つという現代とは異なる形式でした。平安時代に入ると、中国風の儀式が取り入れられ、拍手は行われなくなりました。

また、「天の逆手」という呪術も存在し、人を呪う際に拍手が用いられました。『古事記』には、一言主が雄略天皇の献上品に対して拍手をしたという記述があり、神自身も拍手を礼作法として行っていたことがわかります。

現代の神社の中には、空気神社のように四拍手で作法とする神社も存在します。

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