神祇院

神祇院（じんぎいん）

神祇院は、かつて存在した日本の国家機関であり、内務省の外局として機能していました。昭和初期の神祇官興復運動と神祇特別官衙設置運動の流れを受け、1940年（昭和15年）の皇紀2600年記念の年に設置されました。

設立の背景

神祇院は、国家による神道統制を強化する目的で設立されました。当時の政府は、国家神道を通じて国民の精神的結束を高めようとしており、その一環として神祇院が設置されたのです。

神祇院の活動

神祇院は、敬神思想の普及に努めましたが、特筆すべき成果を上げるには至りませんでした。その活動は、戦時下の国家神道体制を支えるものでしたが、国民の精神生活に深く浸透することはなかったと言えるでしょう。

主な掌務は以下の通りです。

神宮に関する事項
官国幣社以下神社に関する事項
神官および神職に関する事項
敬神思想の普及に関する事項

組織

神祇院の組織は以下の通りでした。

総裁：内務大臣が兼務
副総裁：飯沼一省神社局長が就任（廃止まで）
総裁官房
総務局
政務局

所在地は東京市麹町区霞ヶ関一丁目二番地、内務省庁舎内にありました。

廃止

第二次世界大戦後、連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）は、国家神道に対する解体政策を打ち出しました。その一環として、1945年（昭和20年）12月15日にGHQが政府に対して発した覚書「国家神道、神社神道ニ対スル政府ノ保証、支援、保全、監督並ニ弘布ノ廃止ニ関スル件」(SCAPIN-448)を受け、神祇院は廃止されることとなり、1946年（昭和21年）1月31日限りで廃止されました。

廃止後の措置

神祇院の廃止後、神社は国家の管理から離れ、宗教法人としての道を歩むことになりました。1946年2月2日公布の「｢ポツダム｣宣言ノ受諾ニ伴ヒ發スル命令ニ關スル件ニ基ク宗教法人令中（昭和21年勅令第71号）附則第2項の規定により、神社明細表記載の神社及び靖国神社は、宗教法人とみなされ、旧官国幣社の一部を除きほとんどの神社は、皇典講究所、大日本神祇会、神宮奉斎会によって2月3日に設立された宗教法人神社本庁と被包括関係となりました。

まとめ

神祇院は、戦時下の国家神道体制を象徴する機関であり、その設立と廃止は、日本の宗教政策における大きな転換点となりました。その短い歴史は、国家と宗教の関係について考える上で、重要な示唆を与えてくれます。

参考文献

[国立国会図書館]]　デジタルコレクション　[神社祭式行事作法　内務省神祇院教務局祭務課編集　昭和17年
[国立国会図書館]]　デジタルコレクション　[告示 / 内務省 / 第76号 / 神社祭式行事作法　明治40年
[国立国会図書館]]　デジタルコレクション　[神社局時代を語る　神祇院教務局調査課　昭和17年
[国立国会図書館]]　デジタルコレクション　[神社本義　神祇院編集　昭和19年
[国立国会図書館]]　デジタルコレクション　[神奈川県内政部 / 神社祭式行事作法解説　昭和18年

関連項目

皇道宣布運動
国家神道
神道
拍手 (神道)
二礼二拍手一礼
神祇院造営課

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