拘束性肺疾患

拘束性肺疾患：息苦しさの原因とメカニズム

拘束性肺疾患とは、肺が十分に膨らまなくなることで呼吸が困難になる病気です。肺の組織自体が硬くなったり、肺の周りの組織が変化したりすることで、肺が十分に膨らむことができず、息を吸ったり吐いたりすることが難しくなります。代表的な疾患である間質性肺炎とほぼ同義で捉えられることも多く、さまざまな原因が考えられます。

症状

拘束性肺疾患の主な症状は、息切れや呼吸困難です。初期は軽い息切れから始まり、病状が進むにつれて息苦しさが増していきます。安静時でも息苦しさを感じるようになり、日常生活に支障をきたすこともあります。

その他、以下の症状が現れる場合があります。

乾性咳嗽（からから咳）：痰を伴わない咳
胸痛：息を吸うと胸が痛む
全身倦怠感：強い疲労感
体重減少：食欲不振や消化器症状を伴う場合がある

身体診察では、肺の音に特徴的な変化が聴取される場合があります。「ベルクロラ音」と呼ばれる、衣服同士がこすり合うような音が聴こえることがあります。これは、肺組織の硬化や炎症を示唆しています。

また、血液検査では、動脈血酸素分圧の低下と動脈血二酸化炭素分圧の上昇が見られることが多く、肺機能検査では、肺活量の著しい低下が確認されます。しかし、1秒率（一秒率）は変化しない、もしくは軽度な変化にとどまるのが特徴です。これは、気道の狭窄が原因ではないことを示しています。

原因

拘束性肺疾患の原因は多岐に渡ります。代表的なものとして以下が挙げられます。

間質性肺炎：肺の組織である間質に炎症が起こる病気。様々な種類があり、原因も様々です。
サルコイドーシス：原因不明の炎症性疾患で、肺だけでなく、他の臓器にも影響を及ぼす可能性があります。
塵肺：石綿、石炭、シリカなどの有害な粉塵を吸入することで発症する病気。
膠原病：全身性の自己免疫疾患の一種で、肺にも影響を及ぼすことがあります。例として、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、シェーグレン症候群など。
薬剤性肺障害：特定の薬剤の服用によって引き起こされる肺障害。
放射線肺障害：放射線治療によって肺に障害が生じる。
* 遺伝性疾患：特定の遺伝子異常によって引き起こされる疾患。

原因を特定できない場合もあります。

診断

拘束性肺疾患の診断には、問診、身体診察、画像検査（胸部X線検査、CT検査）、肺機能検査、血液検査などが用いられます。胸部高解像度CT検査は、病変の広がりや特徴を詳細に評価する上で非常に重要です。病理組織検査が必要となる場合もあります。

治療

治療法は、原因疾患によって異なります。原因となる疾患を特定し、それに合わせた治療を行うことが重要です。例えば、薬物療法、酸素療法、リハビリテーションなどが行われます。原因が特定できない場合や病状が進行している場合は、より積極的な治療が必要となる場合があります。

予後

予後は、原因疾患、病期の進行度、患者の状態などによって大きく異なります。早期発見・早期治療が予後を改善するために重要です。

まとめ

拘束性肺疾患は、肺の容積減少による呼吸困難を主症状とする重篤な疾患です。早期発見と適切な治療が不可欠であり、呼吸困難を感じた場合は速やかに医療機関を受診することが大切です。様々な原因が考えられるため、正確な診断には、詳細な検査が必要となります。

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