持参金 (落語)

持参金

持参金（じさんきん）は、古典落語の中でも特に人気のある演目のひとつです。この噺は、友人からの借金とそれに絡む意外な縁談の話が織り交ぜられ、一筋縄ではいかない展開が楽しめます。元々は上方落語の「逆さの葬礼」（さかさのそうれい）の一部から独立して作られたもので、関西から関東へと伝わる中で、初代桂南天から三代目桂米朝、さらに立川談志や三遊亭圓龍に受け継がれてきました。

この噺は、素材として3つの場面から成り立っており、最初の場面が「持参金」に当たります。第二場面は逆さの葬礼に関連する部分で、さらには別題として「捨米」という話も含まれていることから、それぞれのテーマが絡み合っているのが特徴です。元となっている文献は、明和時代の江戸版『譚嚢』や『友達ばらし』など、古い時代の作品に影響を受けています。

あらすじ

持参金

物語は、長屋に住む不精な男から始まります。この男は、以前に友人から借りた5円を返すように急に求められます。しかし、彼はその返済には特別な条件があったと抗議します。友人は急な事情でお金が必要になったため、仕方なく返済を求めてきたのです。それが終わると、続けて長屋の大家がやってきて、縁談の話を持ち込みます。

ところが、紹介される女性は器量が悪く、さらには妊娠しているという欠点があると告げられ、男は驚愕します。しかし、大家が持参金として5円を提示すると、その金額に心が動いてしまいます。男は友人のために、その縁談を受けることに決めるのですが、今日中に持参金を渡すことが条件です。大家はそれに同意し、喜んで帰ります。

その後、友人が再度訪れ、金の準備ができたか尋ねます。男は何とかなると答え、友人にはなぜ急に大金が必要になったかを尋ねます。すると、友人は酔った勢いで器量の悪い女と関係を持ち、その結果妊娠してしまったという衝撃的な話をします。そして、大家が持参金を用意すれば、彼女と別の男との縁談をまとめてくれると言ったそうです。これに気付いた男は、友人の本当の思惑に驚き、金を渡す条件の話について再考します。男が友人に渡せない理由を述べると、「金は天下のまわりもの」といった言葉で話は締めくくられます。

逆さの葬礼

結局、持参金の代わりに手ぬぐいを使うことになりますが、その過程で男や友人、大家が持ち回りになってしまいます。すると、友人の声を聞いた女が出産の時期を迎えますが、その結果が悲劇的に続く物語が展開されます。産後の悪化から女は亡くなり、男は慌てて簡易な棺桶を用意しますが、間違えて遺体を逆さまに入れてしまいます。寺へ持っていくと、驚いた小坊主が和尚に伝えますが、その際の和尚の言葉が印象的なオチとなっています。

捨米

物語の終盤、男は赤子が残されていることに気付きますが、その子が奇妙な顔をしていると捨ててしまいます。その後、遺体が見つかりますが、男はその赤ちゃんを捨てたことに後悔し、「赤子ならWant to eat」と言う結果に。こうした一連の流れを通じて、「金は天下のまわりもの」の言葉は物語の核心を象徴するものとなっています。

持参金は、笑いとともに人間ドラマが織りなす魅力的な落語で、多くの人々に長年愛されている作品です。

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