指定職

指定職についての概要

指定職（していしょく）とは、国家公務員および地方公務員の中でも、特定の役職に就く職員を指します。この職にある者は、一般職に適用される俸給表とは異なる「指定職俸給表」に基づき給与が支給されます。この俸給表は民間企業での役員報酬を参考にしており、そのため、指定職は一般職の中でも特に高い地位を有しています。一般職の俸給は民間企業の給与を基に決定されますが、指定職はその過程が異なり、より高額の報酬を受け取ることになります。

指定職の創設

指定職制度は1964年に設けられました。この制度の目的は、特に高度な職務責任を背負い、かつ一般職員に適用される扶養手当や住居手当の制度が適用されにくい職について、専門的な職務給の考え方に基づいて適正な給与を定めることでした。これにより、官職ごとに給与が設定され、その職にふさわしい報酬が支払われるようになりました。

対象となる職員

指定職に該当する職員は主に、国家公務員の審議官級以上のポジション（部長や局長、局次長など）や研究所の所長などです。2021年の時点で、全省庁における指定職の在職者は929人であり、彼らは主に消費庁、厚生労働省、警察庁などに分かれています。また、平均年齢は56.7歳であり、大多数の職員は国家公務員総合職試験（旧上級甲種）に合格して、キャリア公務員として採用されています。

人事制度の変遷

2014年5月には内閣人事局が設立され、指定職を含む各省の幹部の人事権が内閣人事局に移りました。これにより官職や号俸の決定権も内閣総理大臣へと移管されました。しかし、給与や勤務条件の基本となる級別定数の設定・改定については、労働基本権の観点から人事院の意見を尊重することが法律で規定されています。内閣総理大臣は毎年、職員の適正な勤務条件を確保するために人事院の意見に対し、適切に判断を行っています。

防衛省職員の位置付け

防衛省職員も指定職俸給表を使用する特別職国家公務員です。自衛官の中でも特に昇進した者は指定職として位置付けられます。例えば、統合幕僚長や陸・海・空の幕僚長はそれぞれ指定職8号俸や7号俸を受け取りますが、これは職に基づく所得であり、階級とは直接結びついていません。

裁判所職員の指定職

裁判所の職員の中でも、特定の場合には指定職俸給表が適用されます。この対象者は最高裁判所によって指定され、数名に限られています。

国会職員と地方公務員の指定職

国会職員については、議長が職員の給与を定めることになっており、特別給料表や指定職給料表が適用されています。また、地方公務員においても一部の局長級の職員が指定職として扱われ、各地域によってその適用の内容が異なることがあります。

結語

指定職は高い職務責任を有する職員に対して独自の俸給制度を設けることで、官職に応じた適正な報酬を提供する仕組みです。これにより、公務の質を保ち、職員の働きがいを高めることを目指しています。

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