指宿信

指宿 信：刑事訴訟法を専門とする日本の法学者

指宿信氏は1959年生まれの日本の法学者です。専門は刑事訴訟法と法情報学で、現在は成城大学法学部教授として後進の育成にも力を注いでいます。京都市出身の指宿氏は、島根大学法文学部法学科卒業後、金沢大学、北海道大学大学院と進み、1989年には北海道大学大学院法学研究科博士後期課程を修了しました。

博士論文のテーマは「刑事訴訟における手続打切り ニューヨーク州の「正義の増進のための訴追の打切り」制度をめぐって」で、この研究は後の彼の著作活動の基盤となりました。その後、鹿児島大学、立命館大学を経て、2009年に成城大学法学部教授に就任し現在に至ります。

研究内容と著作

指宿氏の研究は、刑事訴訟法における手続打切りや証拠開示、被疑者取調べ、そして近年注目を集めるGPS捜査やプライバシー保護といった現代的な課題に焦点を当てています。特に、公訴権濫用の問題や、被疑者取調べの録画制度に関する研究は高く評価されており、日本の刑事司法制度改革に大きな影響を与えています。

彼の著作は単著、共著、編著、翻訳と多岐に渡り、その数は膨大です。単著として『刑事手続打切りの研究 ポスト公訴権濫用論の展望』（日本評論社、1995年）、『法情報学の世界』（第一法規、2010年）、『刑事手続打切り論の展開 ポスト公訴権濫用論のゆくえ』（日本評論社、2010年）、『被疑者取調べと録画制度 取調べの録画が日本の刑事司法を変える』（商事法務、2010年）、『証拠開示と公正な裁判』（現代人文社、2012年）などがあります。これらの著作は、刑事訴訟法の理論と実務の両面にわたる深い知見を示しており、日本の法曹界のみならず、広く社会に貢献しています。

さらに、法情報学に関する著作も多数発表しており、『法律学のためのインターネット』（日本評論社、1996年）、『インターネット法情報ガイド』（日本評論社、2004年）などがあります。これらの著作は、インターネット技術の進歩に伴い変化する法制度や情報アクセス方法に対応した、時代の最先端をいく内容となっています。

多方面にわたる活動

指宿氏は、単なる研究者としての活動にとどまらず、数多くの共著、編著、監修、翻訳にも携わっており、その活動範囲は実に広範です。例えば、『取調べの可視化へ! 新たな刑事司法の展開』（日本評論社、2011年）、『GPS捜査とプライバシー保護 位置情報取得捜査に対する規制を考える』（現代人文社、2018年）、『リーガル・リサーチ』（日本評論社、2003年～2016年）などの編著、監修作品を通して、日本の刑事司法制度の現状と課題を多角的に分析し、将来への展望を示しています。

また、海外の法学研究や著作の翻訳にも積極的に取り組んでおり、『死の影の谷間から』（現代人文社、2001年）、『極刑 死刑をめぐる一法律家の思索』（岩波書店、2005年）、『無実を探せ!イノセンス・プロジェクト DNA鑑定で冤罪を晴らした人々』（現代人文社、2009年）など、日本の読者に国際的な視点を取り入れる上で重要な役割を果たしています。

多岐にわたる研究活動と著作を通じて、指宿氏は日本の刑事訴訟法の発展に貢献し続け、法曹界のみならず、社会全体への影響力を持つ存在となっています。その功績は高く評価され、これからも日本の刑事司法制度の改革と発展に大きく寄与していくことが期待されます。

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