挽き板

挽き板（ひきいた）

挽き板とは、木材をノコギリなどの切削機械を用いて板状に加工した建材の一種です。その最大の特徴は厚みにあり、主に10mmから20mm程度の範囲で製造されるものが一般的で、1cm以上の厚さを持つことが特徴です。

これは、非常に薄くスライスして作られる突板（つきいた）とは異なり、天然木の持つ素材感をより強く、立体的に表現できる厚みと言えます。突板の厚みが通常0.2mmから0.6mm程度であることと比較すると、挽き板は格段に厚みがあるため、木材そのものの質感や風合いをそのまま活かすことが可能です。

挽き板の製法は、文字通り丸太などをノコギリで「挽いて」切るというシンプルながらも木材を無駄なく利用できる方法です。

特徴と利点

挽き板は、単層の無垢材と比較した場合にいくつかの優れた特性を持ちます。無垢材は湿度や温度の変化によって伸縮し、反りやひび割れ、寸法変化といった「狂い」が生じやすい性質がありますが、挽き板はこうした木材特有の課題を克服するために工夫が施されています。

一般的に、挽き板フローリングなどの製品では、挽き板そのものを安定した基材（合板や集成材など）の上に貼り合わせて使用します。あるいは、複数の挽き板を木の繊維方向が互い違いになるように積層・接着することで、木材が持つ膨張・収縮の力を相殺し、反りや狂いの発生を大幅に抑制できるという利点があります。

これにより、床材、壁材、天井材といった建築物の広い面積に使用される場合でも、天然木の表情豊かな外観を保ちながら、寸法安定性の高い建材として利用することが可能となります。

突板を使用した製品と比べると、厚みがある分、天然木ゆえの僅かな扱いにくさが残る側面もありますが、その一方で、木材本来の温もりや上質な足触り・手触りを損なうことなく、高い耐久性やメンテナンス性といった生活性能、そして適切に管理された森林からの木材を使用することによる環境性能を兼ね備えた建材として、その活用範囲は建築分野を中心に大きく広がっています。

主な使用樹種

挽き板には、様々な樹種が使用されます。代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。

ウォールナット
オーク（ナラ）
チーク
ローズウッド
ブラックチェリー

これらの樹種は、それぞれが持つ独特の色合い、木目、硬さ、耐久性などから、高級家具やフローリング材として高い人気を誇ります。挽き板として使用することで、これらの貴重な木材の魅力を最大限に活かすことができます。

出典

本解説は、以下の文献を参考にしています。

『建築知識らくらく突破のインテリアコーディネーター用語辞典』 監修：町田ひろ子アカデミー (株)エクスナレッジ 2013年発刊

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