集成材

集成材の概要

集成材（しゅうせいざい、英：Laminated wood）は、比較的小さな木材（ラミナ）を接着剤で再構成した木質材料であり、主に構造用と造作用に分類されます。一般的には建材やテーブルの天板など、家具素材として使用されます。集成材は強度や耐水性に関する厳格な規格と検査基準を設けて品質管理されている構造用のものと、比較的自由な用途で使用される造作用のものに大別されます。近年、学校などの大型施設では大断面集成材が梁として使用され、木質構造で実現が難しかった曲線部材や大スパンの架構も可能となり、木質ドームの建設も進んでいます。

集成材の歴史

集成材の製造と利用は1930年代のアメリカで始まり、初期のものはカゼイン系接着剤が使われていました。現在でもその当時に作られた建物が残っている地域もあります。日本では1950年代に三井木材がユリア樹脂を用いて集成材の利用を開始しました。これにより、完成から50年以上経過した建物も存在しています。

製造工程

集成材の製造においては、まず小さな木材（ラミナ）を人工的に乾燥させます。その後、フィンガージョイントという接合方法でラミナ同士を縦方向に接続します。フィンガージョイントのデザインは構造用では接着剤の効果を最大限に引き出すことが考慮される一方、造作用では見た目の美しさが重視されます。また、接着剤と接着技術は年々改良が進み、より短いフィンガーでも同等の接合強度を維持できるようになっています。接着後はラミナを圧力をかけて貼り合せ、製品として仕上げます。

構造用集成材は、製造前にラミナの強度をグレーディングマシンで測定し、強度に応じたクラス分けが行われます。優れた強度を持つラミナは外層に配置されます。フィンガージョイントの普及により、従来の方法よりも効率的な生産が可能となっています。

集成材の種類と特徴

集成材には構造用集成材と造作用集成材があります。構造用集成材（グルーラム）は、ラミナを積層して強度を高め、設計上必要な強度を確保することが可能です。一方、造作用集成材は小角材を一方向に並べた構造を持ち、見た目の美しさが重視されています。これらの木材は平行に積層され、構造用集成板とは異なる特性を有しています。

メリットとデメリット

集成材のメリットには、強度が安定しており、大きな断面や湾曲した形状を見込んで作ることができる点、また生産過程で適切な乾燥がなされるため、施工後の狂いが生じにくい点が挙げられます。さらに、間伐材やその他の素材を有効に利用できるため、環境面においてもメリットがあります。

デメリットとしては、製造工程が手間を要するため無垢の木材よりもコストがかかること、技術的に不十分な場合に接着面が剥離してしまう可能性があること、また一部の接着剤がホルムアルデヒドを放出することでシックハウス症候群を引き起こすことがある点が挙げられます。

ハイブリッド集成材と幅ハギ集成パネル

ハイブリッド集成材とは、異なる樹種を組み合わせた集成材で、例えばアメリカ産のベイマツと日本産のスギを用いることがあります。この組み合わせにより強度と美しさを兼ね備えています。一方、幅ハギ集成パネルは無垢材を横方向に接着し、パネル形状にするもので、特に家具や内装に用いられます。これは無垢材と同じような透湿性を持ち、高い意匠性を発揮します。

日本農林規格における集成材

日本農林規格（JAS）では、集成材を具体的に定義しており、製造条件や試験方法が規定されています。構造用と造作用に分かれ、それぞれに求められる特性が明確にされています。集成材はエンジニアードウッドの一種であり、木材の持つ弱点を工学的手法で改善し、規格に基づいて品質が保証されています。

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