捕手術

捕手術（とりてじゅつ）について

捕手術は、敵を非致死的に捕らえる武術として知られています。この技術は、敵を制圧しながらも命を奪うことを避けることを目的としており、捕手、取手、または捕縛とも称されています。特定の流派では、三道具や十手、捕縄といった捕具が使用され、攻撃を仕掛けることから相手を捕える方法が教えられています。江戸時代中期以降は、下級役人がこの技術を学ぶ傾向が強まってきました。この武術は、貝原益軒の『武藝十四事』において武芸の一つとして認識され、現代の警察官が学ぶ逮捕術に相当するとされています。

捕手術の歴史

捕手術の名称は室町時代から用いられており、その背景には柔術といった武術の発展があります。多くの武術流派において、捕手術に類似する技法が取り入れられていることが特徴的です。捕手術は、相手を不意打ちしたり、当身を使いながら攻撃を仕掛けて捕らえる技法を中心としています。時には隠し武器を用いる流派もあり、技術の多様性が見受けられます。

室町時代からは、治安維持に従事する者たちが罪人を捕らえるための多様な捕手術を使用していたとされています。ただし、流派によってはその体系や技法が一つにまとめられたのは、1500年以降のことです。この時期に成立した主な流派には、竹内流捕手腰之廻小具足、天下無雙流捕手、日域無双一覚流捕手、荒木流捕手などがあります。

江戸時代に入ると、捕手術は柔術の一部として総括されるようになり、「柔術」として知られる流派にも捕手術の技術を取り入れたものが多く存在しました。例えば、制剛流や竹内流などの古い流派では、捕手術に関する教えが重要視され、修行過程に組み込まれていました。特に制剛流では捕手術を最初に学び、その後に小具足や柔術を学ぶことが流儀となっていました。

主要流派

捕手術に関する流派は多岐にわたりますが、以下はその一部です。これ以外にも、地域によって異なる呼称で姿を見せる流派が存在しています。

• - 竹内流捕手腰之廻小具足
• - 至心流
• - 当理流（または無双流捕手）
• - 天下無双眼心流
• - 天下一無双流
• - 日域無双一覺流捕手
• - 荒木流捕手（荒木流拳法）
• - 剣徳流捕手
• - 制剛流
• - 無双直傳楊心輭殺流捕手
• - 甲州陣屋伝捕手術
• - 中道流三ツ道具

このように、捕手術は日本の古武術の中でも独自の地位を占めており、流派や技術が歴史の中で形成されてきました。特に江戸時代の社会情勢において、捕手術は武士や治安維持のための重要な技術として継承されてきたのです。

関連項目

• - 神道夢想流杖術
• - 様々な捕具の使用
• - 武芸一覧

もう一度検索